ヴィム・ヴェンダース「パリ、テキサス」シネ・リーブル神戸no207
ヴィム・ヴェンダース「パリ、テキサス」シネ・リーブル神戸 2022年1月にシネリーブル神戸でやっていた「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES 夢の涯てまでも」という特集の1本として見ました。で、その時に感想を書くのに困ってほったらかしにしていました。で、今ごろ書いてます。 2023年の9月にパルシネマが、なんと、まあ、小津安二郎の「お早う」と二本立てで企画して上映しています。で、そのプログラムを見つけてチッチキ夫人がいいました。「ねえ、この『パリ、テキサス』って見たんでしょ?」「うん、見た、見た。」「見たいねんけど、どうなん?」「ええで、鏡に自分の姿が映ってるとするやろ、それをいきなり粉々に割るような印象やな。」「そんなシーンがあるの?」「いや、ない。ボクがそう感じただけや。」「どういうこと?」「アリゾナ砂漠ってあるやろ、グランドキャニオンみたいなとこ。そこを歩いてんねん。あの、ほら、『ラッキー』やったかの老人な。なんとかスタントン。」「カメ出てくるの映画やんな」「うん、若い頃のあの人が主役。で、ナスターシャ・キンスキーいう、きれいな人が奥さん。」「フーン。」「で、あのジイさんが、記憶喪失で、4年間、パリに行こうって思い込んで、砂漠を歩いてる、まあ、中年のオッサンやねん。」「歩いてパリなんか行けんの?」「うん、行けんねん。見たらわかる。」「その奥さんは?」「うん、子どもおるねんけど、男の子。その奥さんも子供も捨てたらしいんやけど、忘れてんねん。」「忘れたん?」「いや、そのオッサンがや。」「ああ、そうなん。」「ホンで、まあ、砂漠のガソリンスタンドで倒れて、あれこれあって、奥さんと再会するねん。それが、あの赤い服着た女の人のシーン。」「ナスターシャ・キンスキーいう人やんな。」「そう。で、あのシーンでボクの鏡がぶち割れねん。」「鏡のシーンとかないんやろ。」「うん、でも、覗き部屋いうの?あっちで女の人がいるのが見えて、こっちはみえへんみたいな窓のシーンはある。」「そのガラスが割れるん?」「いや、割れへん。」「意味わからんわ。」「うん、ボクも意味わからん(笑)、でも、音楽はエエで。ライ・クーダ―のスライドギターや。ずーっと乾いていて切ない(笑)。」「パリはどうなってるの?」「そやから、見たらわかるって(笑)。」 主人公はトラビス(ハリー・ディーン・スタントン)というのですが、彼が覗き部屋の女で稼いでいる妻のジェーン(ナスタ―シャ・キンスキー)を見て、そっと、その場を去るところまでは確かに覚えているのですが、後は、やっぱり、砂漠を歩いているイメージしか覚えていません。 そのシーンで、涙が出てきて止まらなくなったような、それだけで映画の記憶は止まっています。でチッチキ夫人はまだ見に行ってませんが、ボクは、SCC(シマクマシネマクラブ)のM氏をお誘いしてお先に見に行きました。その感想は、別に書きます。監督 ヴィム・ヴェンダース脚本 サム・シェパード L・M・キット・カーソン撮影 ロビー・ミュラー美術 ケイト・アルトマン衣装 ビルギッタ・ビョルゲ編集 ペーター・プルツィゴッダ音楽 ライ・クーダーキャストハリー・ディーン・スタントン(トラヴィス)ナスターシャ・キンスキー(ジェーン)ディーン・ストックウェル(ウォルト)オーロール・クレマン(アンヌ)ハンター・カーソン(ハンター)ベルンハルト・ビッキ(医師)1984年・146分・G・西ドイツ・フランス合作原題「Paris, Texas」配給:東北新社日本初公開:1985年9月7日2022・01・08-no3・シネ・リーブル神戸no207!