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カテゴリ:読書
今週読んだ一冊はこれ「ひとがた流し」です。
「朝日新聞」に昨年8月から今年の3月まで連載されていた小説ですので、お読みになった方も多いのではないのでしょうか。 「ひとがた流し」は三つの家庭の物語であり、そしてまた、アナウンサー、作家、写真家の妻として、それぞれの40代を迎えた女性たちが、互いの人生を見つめる物語なのです。 アナウンサーをしている千波、一人娘のさきと暮らす作家の牧子、娘・玲が生まれてすぐ離婚し今は写真家の類の妻である美々。 都心から離れた埼玉でそれぞれに暮らしながらも、3人の友情は続いている。 離婚、子供の成長、親の介護と、時をかさねながら彼女たちは40代を迎えます。 ある年の4月から、朝のニュースのメインキャスターという抜擢をされる千波ですが。 喜びもつかぬまで自分の身体がもう治る見込みのない病に冒されていることを知るのです。 学生時代からの信頼しきった関係と、ともに過ごした時の重さがうまく描かれています。 しかし3人の日常生活を淡々と静かに描いていくはじめの3分の1位は、物語に流れがなくて読みにくさを私は感じてしまいました。 死が近いことを悟る千波は、突然とも言える後輩良秋のプロポーズを受け入れ結婚をします。 子供の頃、亡くなった母と共にひとがた流しを作ったことを思い出し、今の一歩をどう踏み出すか、今に集中する決心の上で。 どうにもならない障害があるため愛が一層輝く、そのあたりも上手く書かれています。 別れにむかい、3人の思い家族の絆が深まっていく課程は誰もが羨ましくなってしまうことでしょう。読後は、静かな余韻の残る物語でした。 今朝出勤前にむいていってもらったリンゴを食べながら。。。 本の挿画は、おーなり由子さんによるものです。美しいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.12.13 16:26:59
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