生ましめんかな 原子爆弾秘話(詩・栗原 貞子)
8月6日に、原爆詩人の一人といわれた栗原貞子さんの詩「生ましめんかな」をブログやフェイスブックで紹介するようになって10数年、経っています。詩に出てくる産婆さんに僕はエックスなるものを感じてきました。ぼくもあの産婆さんのようにいきなければと。今年も8月6日に、こころをこめて贈ります。***生ましめんかな 原子爆弾秘話 詩・栗原 貞子こわれたビルディングの地下室の夜であった。原子爆弾の負傷者達はローソク一本ない暗い地下室をうずめていっぱいだった生ぐさい血のにおい、死臭、汗臭い人いきれ、うめき声その中から不思議な声が聞こえて来た。「赤ん坊が生まれる」と云うのだ。この地獄のそこのような地下室で今、若い女が産気づいているのだ。マッチ一本ないくらがりでどうしたらいいのだろう人々は自分の痛みを忘れて気づかった。と、「私が産婆です、私が生ませましょう」と云ったのはさっきまでうめいていた重傷者だ。かくてくらがりの地獄の底で新しい生命は生まれた。かくてあかつきを待たず産婆は血まみれのまま死んだ。生ましめんかな生ましめんかな己が命捨つとも***栗原貞子さんの『問われるヒロシマ』(1992)を読んでいたら、この詩をつくったときのことが書かれていました。あらためて、これからもこの詩のこと、伝えていきたいと思っています。8月25日(日)の夜、原爆ドーム近くにあるソーシャルブックカフェ「ハチドリ舎」さんでトークイベントミーティングを開催させていただきます。それぞれのエックスを持ち寄って、ピースフルな夜になりますように。2024年8月6日半農半X研究所 塩見直紀