誰かが風の中で・出発(たびだち)の歌 / 上條恒彦(&六文銭)
落語「柳田格之進」をベースとした時代劇「碁盤斬り」が5月17日に公開された。草彅剛が囲碁を愛する主人公の浪人を演じたこの作品には要所要所に囲碁のシーンが登場し、碁を打つ所作や対局中の盤面が大写しになる。囲碁好きな脚本家がシナリオを手がけ、流れに添った棋譜作りや所作の監修は高尾九段を初めとする日本棋院所属の棋士が携わっている。オープニングや碁会所のシーンなど、男女のプロ棋士たちが町人役でエキストラ参加しているので本格的な囲碁映画としても見応えたっぷりだ。ストーリーはシンプルなので、碁がわからなくても、時代劇映画が初めてでも、大きなスクリーンで江戸の人々の暮らしや四季の移ろい、夜の暗さを感じ、絵のようなシーンに目を見張り、碁を打つ音や太鼓の音を味わい、名優達の演技を楽しむことができる。(ギャップ萌え的には「凪待ち」でチンピラ役だった奥野瑛太さんのシュッとした藩士姿が最高)英語タイトルは「BUSHIDO」海外進出し、映画史に残る名作となりそうな渾身の作品は封切り初日映画満足度ナンバーワンとなり、評判が評判を呼んで、監督や出演者ファン、原作の落語や囲碁、時代劇ファンはもちろん、日頃劇場に行かない年配層までもを取り込み、リピーターも増えているようだ。ジャニー喜多川スキャンダルのBBC報道以来、芸能界の潮目が変わったのか、今回の作品では主役のつよぽんや共演者がバラエティやトーク番組に呼ばれる機会が著しく増えている。2016年末のSMAP強制解散以降、退所を選んだ3人は2017年9月「新しい地図」を立ち上げ、2017年11月の「72時間ホンネテレビ」を経て、それぞれが主役の映画や音楽、個展、舞台、ファンミーティングなど才能溢れる活動を展開してきたが、わかりやすい忖度の影響で初期の映画はみごとに上映館が少なく、紹介されることも少なかった。我が生活圏にあるいくつかのシネコンに来ることもなく、テレビに呼ばれることもないのが理不尽に思え、少し遠出して鑑賞し、NAKAMAとしてライブや舞台、ファンミに参加。ななにーやワルイコは毎回観て、時折ここで紹介しながらささやかな応援を続けてきた。日本アカデミー賞最優秀監督賞受賞者の白石和彌さんさえ冷遇された2019年の「凪待ち」では監督と主役の慎吾ちゃんが二人三脚で日本中を行脚し、劇場挨拶をして回り、SNSで発信した。翌年の「ミッドナイトスワン」ではつよぽんがツイッターで つよぽん自ら #草彅剛代表作 とハッシュタグをつけ、宣伝に励み、NAKAMAもどんどん拡散した。大手芸能プロや広告代理店、配給会社が中心となった製作委員会の作品が優遇される日本アカデミー賞に実力でノミネートされたのは実に快挙で、最優秀作品賞や監督賞、主演男優賞を獲った時は思わず落涙。「碁盤斬り」はもちろん、この機会に「凪待ち」や「半世界」も再評価されると嬉しい。特につよぽんは軽妙洒脱な役からシリアスで重厚な時代劇まで変幻自在で自然体のトークと演技のギャップが一番大きいので、今回やっとまたたくさんの番組に呼ばれるようになり、SMAP時代や最近の活動を知らなかった層にも届いているのがことのほか嬉しい。改編後、時短で毎週日曜夜72分放送の ななにー地下ABEMAではなぜか音楽コーナーが一切なくなった(ABEMAの元締めはテレ朝)いつか地上波の音楽番組にも復帰できればと願っている。5/23(木)クラシックTV 公開収録「珠玉の名曲」(稲垣)Eテレ 21:00〜21:305/23(木)トークィーンズ ゲスト:草彅剛 フジ 23:00〜23:40「草彅さん、ぶっ飛ばしてます。最高に面白いです」(みちょぱ)5/24(金)燕は戻ってこない(再)稲垣吾郎 NHK 0:35〜1:20(木曜深夜)5/24(金)あさイチ プレミアムトーク ゲスト:草彅剛 NHK 8:15〜9:55 5/25(土)ワルイコあつまれ(再) Eテレ 10:00〜10:30 ・子ども記者会見(稲垣・香取)ゲスト:森保 一(後編) ・カレーなる賭け(稲垣) ・株式会社ジンタイ(稲垣・草彅)5/26(日)だれかtoなかい(ムロ)鈴木保奈美 x 戸田恵子 フジ 21:00〜21:545/27(日)日曜日の初耳学 林修 ゲスト:草彅剛(後編)TBS 22:00〜23:005/29(火)燕は戻ってこない(5)稲垣吾郎 NHK 22:00〜22:455/29(火)ワルイコあつまれ(89) NHK 23:00〜23:30・子ども記者会見(稲垣・香取)ゲスト:中村獅童・社会の体操選手権(草彅・香取)・花垣吾郎(稲垣) ※ NHKはNHK+ 民放はTverで 放送後1週間無料配信碁盤斬り公開2日目、地元のシネコンに舞台挨拶回(全国327劇場中継)を観に行った。登壇者は白石監督、草彅剛、市村正親、小泉今日子、國村隼の5名。それぞれの自己紹介から始まり、ユーモアたっぷりで和気あいあいとしたトークが約30分。市村さんのはっちゃけぶりが可愛く、みんなの様子をニコニコ見守る監督が印象的だった。隣に並ぶキョンキョンに「(子どもの頃から)ずっとファンだったんです」と語るつよぽんは、彼女が以前共演した國村さんとロケ先の京都で飲みに行ったと聞き、國村さんに嫉妬。「なんで声かけてくれなかったんですかぁ〜」「だって剛さん、古着屋さんばかり回ってたから」(小泉今日子)「撮影中、格之進と僕の決定的な違いは何か考えていた。生きる覚悟、死ぬ覚悟が違う。これから僕はどう生きるのか。覚悟を持って、観ている人の心を動かしたい」(草彅剛)撮影中は常に恩人 高倉健さんや大杉漣さんのことが念頭にあったという彼は今日も観た人の心を動かし続けている。今日の1曲は映画終盤、スクリーンの姿にエアーで流れてきた「木枯らし紋次郎」のテーマ「誰かが風の中で」と上條恒彦さんつながりで「出発(たびだち)の歌さあ今 銀河の向こうへ飛んでゆけ