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テーマ:今日のBGMは・・・?(687)
カテゴリ:ユーミン
先月、ユーミンのライブ「シャングリラ3」に行って来ました。
私は、デビューアルバムからリアルタイムで聴いてきた世代なので、ユーミンといえば荒井由実です。名字が変わったあたりから、歌詞も曲も、だんだんカラフルでゴージャスなアレンジになり、ユーミンがだんだん遠のいていく気がしました。 バブル期は、毎年クリスマスに合わせ、新譜が発売されるので、まるで風物詩のようでしたね アルバムの発売時期から逆算して曲を作るので、秋冬の歌を夏に書いていたそうです。 映画「私をスキーに連れてって」で、雪山を車で疾走するシーンに使われていた、「Blizzard」(猛吹雪)は、夏に、夫(正隆氏)の仲間達とポルシェを連ね、山中湖に向かう途中、河口湖インターを下りた一般道でできた曲だとか。夏にブリザードを想う・・・うん、納涼にはいいかも いつの頃からか、ユーミンのライブチケットは「プラチナチケット」と呼ばれ、入手困難で有名になっていました。 外タレの日本公演には気軽に出かけていた私も、なぜか彼女のコンサートは敷居が高く感じられ、未経験でした 歌とサーカスをコラボレートさせたステージ「シャングリラ」を始めたのが'99年。今年のシャングリラ3では、シンクロナイズドスイミングの世界チャンピオンを招聘したという話に、私のミーハーアンテナがピピッと反応しました。「行きたい!!」 シャングリラが最後になるかもしれないと言われる今回ばかりは、「行ける時に行っておかないと、後悔するかも・・・」という思いがあり、プリリザーブチケットを入手しました。 今は、メルマガでお知らせが来て、パソコンの画面に入力するだけでチケットが取れるので、以前のように何時間も電話をリダイアルし続ける必要もなく、とても助かります。 当日は、友人と、おのぼりさん気分で、十数年ぶりに原宿や表参道を歩きました。 それまでぽつぽつ降り始めていた雨が、会場の代々木体育館前で並ぶ頃には、「マジで?」と言いたくなるほどの土砂降りになり、瞬く間に靴の色が変わっていきました。 記念グッズの特設テントに向かう勇気もなく、ただひたすら傘の中で縮こまり、順番を待つばかり 会場は大相撲の国技館のような配列で、客席の中央にステージが据えられていました。 場内は薄暗く、ひんやりとしていました。 今回のテーマは人魚姫の夢。 水の底で王子様が現れるのをずっと待ち続けている人魚姫の、哀しい夢の物語です。 主役の人魚姫役に、シドニーオリンピックのシンクロナイズドスイミングメダリストで、 世界水泳選手権3連覇の偉業を成し遂げた、フランスのヴィルジニー・デデューさん。 共演者には、ロシアの選抜チームと、日本を代表するシンクロメダリスト 武田 美保 さんに、国立モスクワグレートサーカス団、と、超一流のアスリート達が芸術的な演技でユーミンの歌を支える・・というより、むしろ、極上のサーカスとシンクロのBGMがユーミンの生歌、といった方が近い、贅沢な内容です それは驚きと感動の連続のライブでした。たった今までユーミンが立っていたステージの中央部が、一瞬にして、水たまりになったり、深いプールになったりすることには度肝を抜かれました。 幻想的な光の中で繰り広げられる綱渡りや空中ブランコで、上の方に気を取られているうちに、下では、いつのまにかシンクロチームが水中ダンスをしている・・・といった具合で、「聴いた!」じゃなくて、 「見た!」の方がしっくりきます。 ピアノを弾くユーミンごと宙づりになって天井に上がっていった時には、「どうやって下ろすんだろう?」と、その行方が気になりました。 でも、確認したくても、数メートル下では、曲芸やシンクロのみごとなパフォーマンスが展開されているので「ま、いっか。次、いってみよう」と、安易に目は移動。なるほど、リピーターが多いのも、わかる気がしました。 曲目は、ユーミンのピアノ弾き語りで グレイス・スリックの肖像 に始まり、 Happy Birthday to You〜ヴィーナスの誕生 ようこそ輝く時間へ ハルジョオン・ヒメジョオン インカの花嫁 朝陽の中で微笑んで 時のないホテル BABYLON 12階のこいびと 別れのビギン Delphine Northern Lights 時はかげろう Save Our Ship SHANGRILAをめざせ 真夏の夜の夢 そして、メンバー紹介の後、新曲 人魚姫(ドルフィン)の夢 で幕を閉じました。 時のないホテルや昨晩お会いしましょうなど、'80年代前半のアルバムからの選曲が多かったように感じました。 数あるアルバムの中で、ヒットの陰に隠れた、地味だけど独特の彩りを持つ渋い選曲が、荒井由実時代(特に「ひこうき雲」「MISSLIM」)が好きで、バブリーでキラキラしたユーミンソングに距離をていた感じていた私には嬉しく、落ち着いて聞けるラインナップでした。ややマニアックなセットリストですが、ショー自体が素晴らしいので、曲を知らない人でも充分楽しめます。 シンクロのデデューさんの詩情豊かで優雅なパフォーマンスには、ただただ見とれるばかりでした。 モスクワサーカス団の面々も、難易度の高い演技を次から次へと美しく披露、空中ブランコでは気品さえ感じられるほどでした。 さすが本物志向のユーミン夫妻だけあって、スケールが大きく、めちゃくちゃハイレベル。収益の大半を次の公演に費やし、ファンに最高レベルのライブステージを楽しんで貰えるよう、努力を惜しまないと聞きましたが、その神髄を見た思いでした ユーミンは少し肉が付いたのかな、という印象はありましたが、歌いながら階段を上り下りしても息が切れず、50人以上にのぼる、ロシアのサーカス団やシンクロニスト達の名前を完璧に覚え、フィナーレで、一人ずつ紹介するという記憶力には、会場からも驚きの声があがっていました。 ツアーまでの合宿中は、みんなと行動を共にし、名前を覚えなければ失礼だからと、常に顔写真入りのファイルを持ち歩き、顔と名前を一致させるようにしていたそうです。 ファーストネームが「アナスタシア」さんだけでも6人ぐらいいたし、◯◯スキーだの◯◯チョフや◯◯スカヤ・・ロシア語のわからない私には、違いがわからない名前と顔を覚えようとする気持ちが、若々しさの秘訣かなと思いました。 パフォーマーも裏方もみんなプロ意識の塊で、妥協を許さず、日夜、目に見えない努力を続ける人達なのでしょう。 「サーカスやシンクロの人達が、肉体の限界に挑戦し続ける姿を毎日見ていると、自分は何もできないんだなあ、と思う」と語るユーミンの発言にも驚きます。(だって、ユーミンが何もできないんだったら、うちら一般ピープルって、一体、何?みたいな) パワーがパワーを呼び、大きな力となって会場を包み込んでいるように思えました。シャングリラ(桃源郷)の住人となった私達は心地よい歌と見事なステージに陶酔し、静かに感動が広がる・・そんな夢の世界でした 会場を出る頃には、帰宅後の段取りを考えるという現実に戻ってしまったのですが、周りは、私同様、携帯を手に家族と連絡を取る人達が多く、みんな、日常から離れ、夢を見に来ていたんだなあ、と感じました。 素晴らしいステージを提供してくれたユーミン夫妻とスタッフに感謝し、 心からの拍手を送ります。ライブDVDが発売されるそうなので、今から楽しみです ※ 上書きしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年02月27日 07時37分47秒
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