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カテゴリ:里山での読書
本と研修から 冬のこの時期は、毎年、充電期間でもある。本を読んだり、気になる研修会に参加できるのもこの時期だ。主催者側も雪が降って何もできない、この時期に開催してくれる。 自然を満喫しているものの、冬の厳しさに対峙すると、その素晴らしさ以上に過酷さに滅入ってしまうこともある。そんな自分を励ますために改めて自然=森林について知ろうと思った。 一つは『癒しの森で心身をリフレッシュ 森林療法のすすめ』(上原巌 コモンズ)の本だ。実践例が中心で理論的には物足りないが、その分読みやすい。いくつか紹介されている具体例の中で面白いと思ったのは、「里山を利用した知的障害者の療養」(4章)と「森林カウンセリングの可能性」(3章)だ。 サナトリウムや健康保健施設は別にして、これまで福祉施設の里山の中での開設は往々にして人里離れた所に隔離するというように一般的に否定的に捉えらていたように思う。この実践例では野外活動を通して利用者の能力や個性を引き出したり総合的なリハビリテーションを試み、一定の成果を上げている。自然の中に閉じ込めるのではなく、反対に豊かな自然を積極的に活用するという発想の転換だ。 「森林には言葉はない。しかしながら森林のなかに入るものそのままの姿を包み込み受容する。受容こそがカウンセリングの基本的な要素である。森林がカウンセリング空間ととして利用できる最大の理由は、ここにある。」 なるほどと思った。
丁度この本を読んでいたときに、昨年の秋に参加させていただいた「キノコ栽培の研修会」の関係機関から思いもよらない案内状が届いた。『林業普及指導員全体研修会・林業研究グループ等活動発表会』(主催:福島県、後援:福島県林業協会、福島県林研グループ連絡協議会)だ。 そもそも林業普及員という言葉も初耳だし、林業研究グループという存在も知らなかった。一日かけて実践発表報告があるという。「子どもの森づくり」とか「子どもたちと森のいい関係作り」などの報告事例のタイトルが魅力的だった。 午前中は林業普及指導員の実践例で、聞いたこともない林業の専門用語が頻繁に出てきて半分も理解できなかったが、午後は里山に住む人たちの地域実践で、どれもすばらしく関心をひくものばかりだった。 とくに『森林資源活用による環境学習、交流事業の展開』(NPO法人 りょうぜんさとやま学校)には目を見張った。盛んだったシイタケ栽培の村が高齢化とともに廃れていく中で消費者と生産者との交流を通してオールシーズンの体験交流の場づくりに発展していった経過が報告された。なによりも「交流を通して、こんなことをやりたいという小さな声があがったら、それを大切にして村の中からできる人を捜して具体化する」という積極的な姿勢には、だからこそここまで発展させることができたんだなと納得させられた。
自分だけで、この可能性を秘めた豊かな空間を独り占めしてはいけないなぁと思う。ここに、これから僕がやらなければならない何かヒントがありそうな気がする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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