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カテゴリ:里山での読書
猿橋勝子 こんな凄い女性がいた 我が国に世界的な著名な女性科学者がいたことをご存じだろうか。つい最近まで僕は知らなかった。日本学術会議に女性として初めて会員に選出され、日本物理学会会長にもなった猿橋勝子だ(1920-2007年)。このブログで先に紹介した児玉龍彦氏が、国会での参考人発言の後に緊急記者会見をした時に「放射線量の微量測定法を確立して核実験の禁止に道を開き、全世界に希望をもたらした女性科学者」として紹介していた。早速に県立図書館の蔵書を調べたら三冊見つけた。 なるほど偉大な女性科学者だ。彼女は、アメリカのビキニ海域での核実験やソビエト連邦の核実験によって地球規模での放射性物質の汚染が広がっていることを海水や大気中の微量の放射性物質の分析を通して明らかにした。 圧巻はアメリカの研究者から分析結果が信用できないとクレームが出た時に、カリフォルニア大学のスクリップス海洋研究所に単身、乗り込み相互検定をして正しいことを認めさせ、独自に開発した分析方法が高く評価されたという女性だ。女傑というイメージを持たれるかもしれないが、数々のエピソードと多くの人の証言は、細やかで、情熱的で、優しさと正義感なあふれた女性を想像させる。 「諸刃の剣の科学。その功と罪とを最も的確に把握しているのが科学者である。だから科学者こそが、哲学者の視座で功と罪とを語り続けなければならない。猿橋がなによりも大切にした人間としての原点である」 一人の女性科学者の生き方が、後年、児玉龍彦氏のような数多くの真摯な研究者、科学者に人間としての原点を見つめることの大切さを教え、輩出してきた。そして勇気ある行動をもたらした。 組織や力ある者に迎合し、調子よく立ち振る舞うのは男女どちらが多いだろう。狩猟をしてきたDNAは、今でも戦争や争いごとに男を向かわせているのだろうか。中東のイスラム世界では今でも女性は車の運転ができないと聞く。日本でも戦前、女性には参政権が与えれていなかった。どうも男尊女卑の社会や、そういった時代は世の中を混乱させ、不安な容易ならない事態を生みだしているような気がしてならない。 今福島で、汚染の広がる地域で、名もなき市井のお母さんたちが子どもを守るために立ち上がっている。世の中を変えるキーパーソンは女性のような気がしてきた。男女共同参画社会基本法があるくらいだから、まだまだ企業や公務員の管理職は男が圧倒的に多い。形式的に制約がなく男女平等に参画できるとしたら、選挙権や被選挙権の行使ではなかろうか。政治家が男女半々になったら、女性の、母親の声をさまざまな政策に反映することができる。そうすれば、今よりまともな社会に何歩か近づくのじゃなかろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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