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風景印はご存知ですか? 郵便物に押されている、ちょっと大きな鳶色(赤茶色)のスタンプ。観光地の記念スタンプのようなイラストが入っていますが、これ、れっきとした消印なのです。
さて、この本は著者の古沢さんが一年かけて東京23区内の風景印を使用している郵便局375局を回った、一種の紀行文。素晴らしいのは、そこに彼のこだわりが色濃く出ていることです。 風景印の記念押印をするだけではなく、風景印にデザインされた風物(行事、建造物、名所、植物など)をも目で確認していること。 風景印にあった日を選んで訪局していること。 風景印と使用する切手のデザインをあわせていること。 例えば、東京都庁内局であれば都民の日である10月1日に訪局、切手は風景印に描かれた銀杏、そしてもうひとつ風景印にデザインされた都庁舎は「都庁内局」ですからもちろん見ているという具合です。ほかにも局員さんや近所の方と風景印にデザインされた石碑や松の木を探したりと、大変そうですがおもしろそうでもあります。 単純に集めるだけなら、郵頼(郵送で押印を依頼すること)でもできます。もちろんそれではあまり意味を成さないわけで、そのへんが郵趣家のこだわりであり、楽しみでしょうか。 また、訪局に関することだけでなく、風景員にまつわるおもしろい情報もコラムで記載されています。郵政省内局→郵政事業庁内局→日本郵政公社内局→千代田霞が関局→千代田霞が関局(図案変更)と、7年で5種類という風景印の変遷。あるいは局員さんについての裏話なども。 圧巻だったのは桜をモチーフにした風景印。3月4月はかなりの部分を費やして桜の風景印をめぐっています。さくら並木が描かれたものから外枠に使われているものまで、こんなにもたくさんあるのかというほどです。 残念ながら、一般の勤め人にはこれだけ平日を使って訪局するなんて真似できません。例えば、旅行にでかけたときなどに、その記念として押印してもらうのもひとつの楽しみ方かなあと思います。 減少傾向にあるらしいですが、まだまだ全国各地で使われている風景印。これからも新しいものになっていくはずです。まだまだ楽しみ方はあるはず。僕自身、以前風景印を集めていたのですが、これを機会にまた集めだそうかなあ。そう思わせてくれる一冊でした。 ちなみに、コラムにもありましたが再来週の月曜日は2が5つ並ぶ平成22年2月22日。こんな日の記念に押すのもいいかもしれませんよ。 2010年2月5日読了
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Last updated
2010.02.09 17:23:56
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