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カテゴリ:感想
特殊能力者たちが集まる街・咲良田。三日間だけ時間をリセットできる春埼美空と、記憶を保持する能力を持つ浅井ケイのふたりは、予知能力を持つ「咲良田最強の能力者」魔女と会う。彼女は自分の死期を予知し、その死に際してひとつの計画を目論んでいた・・・
この問いが、そして返事がこの物語のすべてだったのと同時に、ふたりの関係がいかに不安定なものであるか表現していました。 確かに、ケイと春埼の関係は記憶保持とリセットという2つの能力の活用にしか見えない部分がありました。単体では大した役に立たない能力ですからなおさら。そして、人格ではなく能力でしか評価されない、すなわち「春埼美空」=「リセット能力」という評価しか与えられないことが、そのまま春埼の不安として問いにつながったように思います。普段あまり感情的に見えない春埼だけに、強く印象に残りました。 さて、今回新たに登場したのは、未来を予知する能力を持った「魔女」と、写真の世界に入る能力を持つ男・佐々野、そして赤い目の少女岡絵里。人物と同時に新しい能力も登場しますが、その能力の使いこなし方や対立具合がおもしろかったです。中でも前作で登場した村瀬の使い方が抜群でした。この組み合わせが今後に大きく影響しそうで、ますます楽しみなのですが。 また、魔女や佐々野に関するエピソードも切なくていいのですが、気になるのは岡絵里とケイの関係。顕わになるケイの過去は、この物語が長く続くようであればいずれどこかで重要なカギを握る部分になりそうな気がします。 切なく、はかなく、そして脆く美しい、まるで桜の花のような物語でした。タイトルや街の名前から影響を受けていることは否定できませんが、それでも表紙の桜が、そして桜色があまりにも物語のもつイメージと一致していたのです。願わくば、その色があまり暗い方向に変わらないことを。 関連作:『サクラダリセット』 2010年3月7日読了
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Last updated
2010.03.15 17:24:36
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