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Neko月@ Re:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) 深い。 面白い。 はまる。 読む。 サ…
shiba_moto@ Re[1]:土橋真二郎 『ツァラトゥストラへの階段3』(09/12) しばたさんへ コメントありがとうござい…

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2010.04.12
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カテゴリ:感想
 携帯関連メーカーとベビー用品メーカーの共同チームは、ヒット商品の開発で軌道に乗っていた。しかし、リーダー粕谷が目の前でニコチン中毒死したことから、メンバーは疑心暗鬼に。しかもメンバーの水野は、犯人が同僚であり恋人の早智恵であるという証拠をつかんでしまった。ただちに水野は早智恵と別れる決意をした・・・

 みなさんは石持浅海というミステリ作家から、どういった作品を想像するでしょうか。
 自分の恋人が殺人犯だとわかったらどうするでしょうか? というのが、今回のテーマ。エゴイズム丸出しの主人公には辟易する思いでしたが、本当にそんな場面に出くわした場合、自分ならどうするだろうと思いながら読みました。もうひとつ、早智恵が犯人ではない証拠はどういうものだろうかとも。

 主人公の水野は、自分の保身のためにいろいろな物事を論理的に考え、行動できる人間です。彼の思考と行動を追って流れていくこともあって、物語は結末へとスムーズに進み、比較的読みやすいものでした。
 ただ水野は、早智恵が殺人を犯した動機の究明や早智恵が犯人でない証拠探しよりも、むしろ自分と早智恵との関係を上手く断ち切ること、すなわち別れるタイミングを探るばかりです。期待すればするほどミステリ的な妙味は薄れていくようで、これは読み方を間違えたかと思わざるを得ない感じでした。

 もっとも、推理を披露して聞かせる桜沢と、それを必死に誘導する水野のやり取りはなかなか興味深いものでした。犯人を突き止めようとする桜沢と、なんとか桜沢の矛先を早智恵からそらそうとする水野。このふたりのやり取りが持つ緊迫感はちょっと変わったものでしたが、この物語の見せ場のひとつでしょう。

 テーマが重視されたのか、結果として謎解きのようなミステリらしいミステリでもなければ倒叙推理とも言い難い作品でした。でも、石持さんらしい何かがあった気がします。
2010年3月26日読了





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Last updated  2010.04.12 19:42:47
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