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Neko月@ Re:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) 深い。 面白い。 はまる。 読む。 サ…
shiba_moto@ Re[1]:土橋真二郎 『ツァラトゥストラへの階段3』(09/12) しばたさんへ コメントありがとうござい…

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2010.04.27
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カテゴリ:感想
 結婚詐欺にあいそうになったばかりの織香が1,428,000円で買ったもの。それは旅行用トランクのような箱から生えた傘、否、自家用の、一人乗りの空飛ぶ機械だった。彼女は日本最初の女性個人客として教習に通うが、それは誰にも話し出せない秘密だった。ちょっとだけ未来の出来事・・・(「煙突の上にハイヒール」

 近未来、もうすぐありえそうなことばかりを集めたライトなSF短編集。
「煙突の上にハイヒール」
 空飛ぶ機械「Mew」を手に入れた織香。だが、隠していたことをひとり追及してきた女性がいた・・・高いところが嫌いな僕にとっては夢でも何でもないんだけれど、これこそ「夢の未来」なのでしょうね。「Mew」の機能に制約があるのも、現実的で良かったです、「Mew」から始まる展開のおもしろさがありました。
「カムキャット・アドベンチャー」
 飼い猫に誰かが餌を与えているようだ。僕たちは猫の首輪に車載カメラを取り付け、確認を試みた・・・これは今でも十分にありそうなこと。その顛末になんだか微笑ましさを感じてしまいました。
「イブのオープン・カフェ」
 クリスマスイブの夜、ひとりオープンカフェに座る未知に相席を頼んだのはタスクと名乗る人型ロボットだった・・・ほんのひととき、ミステリっぽさを味わいました。雪の寒さ、寂しさと、未知とタスクの切なさがリンクしているようでした。
「おれたちのピュグマリオン」
 「できないときに、『できません』と言えることをですよ」稔は自分の作ったロボットの長所を俺にそう説明した・・・おもしろいのですが、この結末は心理的に抵抗があって、ちょっと受け入れがたいのです。
「白鳥熱の朝に」  
 臨時扶養者特措法によってやってきたのは17歳の少女。狩野と芳緒の奇妙な同居生活が始まった・・・本当に恐ろしいのは白鳥病そのものなのか、それとも人の心なのか。最後に並ぶ一編が明日への明るさを持っていることがうれしいです。

 どれも近未来的なことを扱っていますが、今すぐにでもできそうなことからちょっと時間が必要そうなものまで内容はさまざま。作中のような時代になっても、人間の、日本人の心というものだけは忘れずにいたいものです。
 SFとは言うもののあまりハードなものはなく、比較的ライトに感じました。SF初心者の方にもおすすめです。

収録作:「煙突の上にハイヒール」「カムキャット・アドベンチャー」「イブのオープン・カフェ」「おれたちのピュグマリオン」 「白鳥熱の朝に」
2010年4月14日読了





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Last updated  2010.04.27 11:45:52
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