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カテゴリ:感想
高校に入り、放送部に所属した米村真弓子。夏合宿で失敗したものの、「米村の声は胸に響く」と言ってくれた大河原くんに片思いしている。だが、彼はいつのまにか後輩にとられてしまい、失意の日々。犬のベンジャミンだけは彼女を見守っていてくれるのだが。SMAPがまだ6人で、ドリカムが3人だったころのこと・・・
うーん、やられたなあ。 表向きは真弓子が大河原くんに片思いしてから失恋までの5年間の恋愛です。好きになっても告白できない真弓子。純粋で不器用で鈍感、そして不運な彼女。だからこそ、応援したい気持ちになるのに、運命の女神は皮肉にも彼女に微笑みかけない。大河原くんを後輩の蔦岡るいにとられ、藤枝美咲にはなぜかライバル視され、おまけに大河原くんは東京の大学に行ってしまうのでは、本当にやりきれないでしょう。まあ、青春ですけどね。 ただ、隠されたようにもう一つのテーマがあり、それが真弓子と飼い犬ベンジャミンとのやり取りです。小学五年生のときにペットショップで購入して以来の関係。このベンジャミンが合いの手のように挿む言葉が、思わずにやりとしたくなるほどいいタイミングで絶妙なのです。飼い主とペットのベストマッチングとでもいうべき関係です。 そしてこれを前提にしてのラストシーンがまた泣かせます。少々あざとい気もしますが、ベンジャミンの独白。ふたり(1人と1匹)の関係、積み重ねを知っているからこそ、このシーンにグッときます。 大河原くんへの思いや、友情へと変化していった藤枝とのライバル関係も青春小説としておもしろかったのですが、なんといってもベンジャミンだったなあと思うのです。 2010年5月7日読了
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Last updated
2010.05.24 18:46:11
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