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Neko月@ Re:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) 深い。 面白い。 はまる。 読む。 サ…
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2010.08.10
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カテゴリ:感想
 人格入れ替わりを乗り越えた五人に襲いかかる新たな試練。自分の体が、勝手に思ってもみなかった動きをしてしまうのだ。やがて、青木と唯が警察に補導され大問題に。今度の試練は心の奥底に潜んだ欲望の開放。理性による歯止めが効かない暴走で・・・

 シリーズ第二弾。人の生死にまで持ち出した前作に比べると、今回は軽い題材に見えるかもしれません。しかし、欲望解放による人間関係の崩壊は、ひょっとするとかなり重い意味を秘めているようにも見えました。
 良好な人間関係というものは相互信頼によって成り立っていくものだと思うのですが、欲望が解放されてしまうことで起こるのが、信頼の喪失=人間関係の崩壊にほかなりません。これを乗り越えることができるのは、本来の欲望を持った自分、すなわち隠すことのないあるがままの姿の自分をお互いに受け入れられるか否かということにかかっているように思います。これって、結構ハードル高くないですか?

 さて、今回中心にいたのはまぎれもなく稲葉。前作では太一と伊織、青木と唯という組み合わせからちょっと引いたかのような立ち位置だったのですが、今回は本当にど真ん中。欲望解放というアクシデントがいい方向に転がったケースです。今までの稲葉姫子とのギャップの大きさが変化を的確にあらわしているのですが、その変化を決断させた伊織の格好よさといったら! 次の第三作『ココロコネクト カコランダム』でも、きっとこのふたりは重要な位置を占めるのでしょう。対象的なこのふたりがどんな形で物語を進めていくのか、楽しみです。

 あとは「ふうせんかずら」。人格入れ替わりも欲望解放も、その意図がはっきりしません。もちろん「ふうせんかずら」の存在も謎。どういう形で意味づけられるのか、こちらも注目です。

関連作:『ココロコネクト ヒトランダム
2010年7月17日読了





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Last updated  2010.08.10 18:58:06
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