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カテゴリ:感想
帰国子女の栄美は、日本で高校生活を送ることになった。なかなか日本の風習には馴染めなかった栄美だったが友達もでき、やがて飛鳥部という男子生徒に思いを寄せる。だが、いざ彼とデートの約束をしても、かならず何かしらの障害があって彼に会うことができないのだった・・・
3章仕立で構成される、栄美の不思議な青春物語。ヒロイン栄美視点の一章、三章に挟まれる形で大学生ユージ視点の二章が入ります。 当初の体裁はごく普通の青春もの、学園ものです。ただ、それだけではあまりに貫井徳郎らしくありません。もちろん、そんなことはないのですが。紙幅も200ページ弱と少なく、ライトな感じを出す作品ですが、しっかり貫井さんらしさを見せてくれます。 その短さゆえにやや性急に思えたり、あるいは無理があるようにも感じますが、それほど気になる部分ではないでしょう。むしろ巧みに用意された伏線と無意識に訴えかけるようなミスリードを楽しむべきでしょう。 また、真相はしっかり社会の暗部にも切り込んでおり、その鋭い刃は私たち日本の現代社会に生きる者たちに突きつけられています。 あまり詳らかにしてしまうのはネタを割ることになるので避けますが、短いという手に取りやすさと軽さ、そして読みやすさをあわせ持ち、多くの読者にメッセージを伝えられる作品でしょう。技ありの佳作です。 2010年8月12日読了
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Last updated
2010.10.06 18:00:33
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