土橋真二郎 『ラプンツェルの翼 2』
突如として遼一の前から姿を消した奈々。天使育成の為のプログラムに落第した彼女は、強制的に次のテストに回されていたのだ。そこには奈々と同じように落第したらしき四人の少女が。だが、他の四人と奈々には決定的な違いがあった。それは、宿主との関係・・・ 天使へのステップを進む奈々のテストという形でゲームが行われる『ラプンツェルの翼』の2巻。 五人の天使候補からひとりに絞り込む過程として、3つのゲームを行うストーリー。もっとも、ゲームとは言っても命懸けなのですが。 このゲームという点で、今回は正直イマイチでした。というのは、3つのゲームを盛り込んだために、おもしろさが小さく3つに分かれてしまったように思えるのです。例えるなら、容量をフルに使ったゲームとミニゲームの詰め合わせの違い。それぞれの内容にもよるでしょうが、どちらがより満足を得られるのかと言えば前者ではないでしょうか。ひとつひとつのゲームはそれなりにおもしろかっただけに残念。 さて、今回も登場するのは遼一と奈々。このふたりの関係性に今回も焦点があてられています。ふたりの距離が離れていると奈々の力が発揮されないとかいう設定。ふたりを一旦引き離すことで後半に再確認できる絆の強さ。あるいはライバルたちの宿主との関係、すなわち宿主を食べたか否かという比較など。そこに描かれるふたりの心の描写には感心します。これがラストへの盛り上がりを作っていて、全体としてはうまくまとめられている印象を受けました。 このまま投げ捨てられることはないと思うので次はこの続編でしょうが、今度はもっとゲーム部分でも楽しませてほしいですね。関連作:『ラプンツェルの翼』2009年5月28日読了