共感
“精神病棟”S.B.シーガー著タイトルや装丁がちょっとどぎつい本だったからどうかなあと思いながら読み出したら、これが面白い。有名オヤジ医師が、さも偉そうに解説してるものじゃない。救急医から精神科医に転向し、インターンとして経験したことを、苦しみ悩み、ユーモアを交え愛情深く書いていて下手な小説よりのめりこんで楽しめる。スタッフや患者との交流の様子、日々起こるドラマが小説の上を行ってる。その本の中の“共感”と言うキーワードに私の感情が反応して、息子の子供の頃のことが思い出されてきた。私の不注意から何度も危ない目にあわせことを思い出し、泣きながら息子にメールを書いた。息子がまだ1才くらいの時、レストランでイスの背に反対にもたれてそのまま倒れて歯を折った・・・・その顛末を、私の恐怖と後悔を、息子に泣きながら書いた。赤ちゃんの頃、昼寝をしてる側に、大きな鏡があった。それが何かの拍子に息子に倒れた。幸いマットレスの端がクッションになって、すき間ができて難を逃れた。なんて無配慮で愚かだったんだ、と自分を責めた。まだある。あの時、運が悪ければ息子は死んでたかもしれない・・・しかし、思い出して文字にすると恐怖がよみがえる。“共感”と言う言葉がなぜその記憶を呼び戻したのか・・・恐怖や悲しみに震えて苦しんでる時、人は誰かそばにいてくれる、というだけで救われる時がある、と言うことを息子に伝えたかった。共感と言う言葉がどれほど大きなことか覚えておいて欲しかった。
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