零戦エンジンとどろいた 唯一飛行可能な機体、里帰り
朝日新聞デジタル 12月1日(土)20時33分配信
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大勢の航空ファンが見守る中、エンジンを始動させた零戦=1日午前、埼玉県所沢市、竹谷俊之撮影 |
【平井茂雄】旧日本海軍の零戦で唯一、製造当時のエンジンを積み、今も飛行可能な機体が所蔵先の米国から17年ぶりに里帰りし、埼玉県所沢市の航空発祥記念館で1日、展示が始まった。実際にエンジンを動かすイベントもあり、大勢の航空ファンが見守った。
【動画】飛行可能な零戦 所沢でエンジン音響く=竹谷俊之撮影
イベントは「日本の航空技術100年展」の一環。約10分間のエンジン始動が3回あり、約1300人の観客がプロペラを回して響く重厚なエンジン音に耳を傾けた。エンジンが止まると盛んな拍手が送られた。
機体は太平洋戦争中の1943年に製造された零式艦上戦闘機52型。配属先のサイパンの飛行場が米軍に占領された際、ほぼ無傷の状態で収容された。零戦研究などに使用された後、米カリフォルニア州のプレーンズ・オブ・フェーム航空博物館が購入し展示。栄21型エンジンを積み、現在でも年間15~20時間、空を飛んでいるという。
78年と95年に続き、3回目の里帰り。過去2回は実際に空を舞った。航空発祥記念館の坪井健司館長は「エンジンの老朽化などで、日本でエンジン音を聞くことができるのは、これが最後になるかもしれない。現在まで続く日本の航空技術水準の高さを体感してもらえれば」と話す。
展示は来年3月31日まで。エンジン始動見学会は2日と3月30、31日にもある(雨天中止)。問い合わせは同記念館(042・996・2225)。
朝日新聞社