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カテゴリ:本・雑誌
デビュー第一短編から、最新書下ろしまで、 伊坂さんの短編4編を集めてあります。 「動物園のエンジン」 「サクリファイス」 「フィッシュストーリー」 「ポテチ」 どの作品も、伊坂さんらしい荒唐無稽さと、登場人物と時間のリンクがあちこち使われていて、やはり期待はずれの無い伊坂ワールドが展開されています。 「サクリファイス」と「ポテチ」では読者にも人気の高いあの人(ネタばれしないほうがいいかもしれないので書きませんが・・;;)が登場。「サクリファイス」では主人公やってます。 でも私が一番心魅かれたのはやっぱり「フィッシュストーリー」ですね。 「fish story」というのはホラ話、大げさな話、作り話、という意味なんだそうですが、 本当にホラ話のような・・。 売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が、時空を越えて奇跡を起こす・・。 二十年前、現在、三十数年前、十年後と時はワープするみたいに(^^;)行き来し・・ 「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」 ・・多分、時代を早く行き過ぎ、理解されずに売れなかったロックバンド、 彼らの呟きを内に録音したアルバムは、彼らの思いを乗せ、 思いもかけないところで世界を救うこととなる・・。 考えると面白いですよね。 まさにホラ話といえばホラ話になるんでしょうが・・。 実際、音や感性はいいのに、そして自身を持って自分達のやりたい音楽をやっているのに、 大衆に受け入れられず、埋もれていくバンド、音楽は多数あると思うんですよ。 その中には、時を経てから受け入れられたりする例もあるし。 「僕の孤独が魚だとしたら、そのあまりの巨大さと獰猛さに、鯨でさえ逃げ出すに違いない」 これは、晩年は廃屋にこもって、その壁に文章を書き続け、亡くなったと言う日本人作家の遺作の冒頭だそう。 このフレーズと、売れないロックバンド、それを巡る人々が絡んで、ストーリーは進む。 なんだか、伊坂さんの世界に一度嵌ってしまうと、なかなか抜け出せそうに無いです(^^;) ファンサイトがありました→こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.02.20 00:01:11
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