カテゴリ:短歌
この街で暮らし始めた春の日に
咲きしさくらの色想ひけり うちの下のコンビニの駐車場に 引越し業者のトラックが止まっていて、 車内でアルバイトとおぼしきオニイチャンが 真剣にコンビニ弁当を食べていた。 そうね、もう繁忙期だもんね、と ひとりごちる。 大学生のとき、ちょうど春休みのこの時期に、 期間限定で引越しのアルバイトをしたことがある。 現場に出るスタッフの面接を受けたんだけど、 履歴書の字がキレイだからとかなんとかで 急遽、事務員としての採用になり、 シフトの調整や面接のお手伝いなどを のんべんだらりとやっていた。 いいのかそれで、って感じだったが、 結構高給取りな仕事だった。 社員さんにも可愛がってもらって、 バイト仲間とも仲良くなって、 なかなかに楽しかったような気がする。 いや、それはそれでキツイこともあったんだろうけど、 思い出は濾過され、風化する。 宇多田ヒカルとブリトニー・スピアーズが ヘビーローテーションで流れる中、 見上げた満開のさくらはとてもきれいだった。 次の年も引き続き同じ仕事をしたのだが、 こちらはさっぱり覚えていない。 誰と居たか、何を見たか、 それを細胞がどう記憶しているか、なんだとつくづく思う。 今年もまたやってくる、さくらの季節。 わたしにも、あなたにも、 最高の春になりますように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年03月12日 21時45分02秒
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