『本日は大安なり』/辻村深月
本日は大安なり著者:辻村深月価格:1,680円(税込、送料込)楽天ブックスで詳細を見る暦どおりに、とはいかないまでも、今年は上手いことシフトを組ませてもらって、プチ連休を確保。天候と体調と家事とのバランス、その他もろもろを考慮して、比較的ゆっくりと過ごさせていただきました。溜まっていた積読本も1日1冊ペースで読めたし、満足まんぞく。東野圭吾『麒麟の翼』の安定感は言うことないが、辻村深月の新刊、なかなかおもしろかった。先般、吉川英治文学新人賞に輝いたのも記憶に新しい彼女。全体的に有川浩っぽいテイストの作風ながら、辻村カラーの伏線の緻密さはさすが。ブライダルコーディネーター、という仕事についてもしっかり取材をし、咀嚼していることがよくわかる。短篇と短篇との流れもスムーズだけど、人物の状況設定がすこし難しいので、考えながら読みすすめなければならないあたりは、ソフトにミステリー畑の本領発揮か。私自身、もともとハッピーエンドはうすっぺらく偽善的な気がしてあまり好みではないのだが、事件・事故・天災・世界テロの指導者殺害等、ほんとうに心の揺れる出来事が続くなか、知らず知らず無意識のうちに、明るい未来を暗示するような結末の物語に共感するような心持ちになっている。その点においても、この本は、この時期に読むのにいい1冊といえるのかもしれない。直木賞もそう遠い将来ではないと思われる辻村深月、今度は本格的なコッテコテの正統派ミステリー、期待してます。