遭遇
仕事帰り、男のことを考えながらクレバの曲に酔いしれる。うつむき加減で考え事をする。買ったばかりのブーツをカツカツさせてふくらはぎが非常にキツイ。うまく歩けない。そう、バーゲン品、サイズが合ってないのだ。車が行きかう。自転車が横切る。あ、前方に人が倒れてる。歩道に。うつぶせに。さっき横切った自転車だ。身動きしてない。歩をゆるめ、様子をうかがう。だめだ、動かない。死んだのか。周りには私しかいない。とりあえず、駆け寄ってみる。「もしもし、大丈夫ですか。」教習所で習ったととおり、かるく背中をたたき声をかけてみる。反応がない。もう一度声をかける。「うぅ。。」生きてた。65~70歳位の白髪のシニアの男性。ダークなジャンパーをはおり、スケバン刑事風の毛糸のエンジ色手袋。外で暮らしている風貌。ヤバイな。いやな、焦燥感。「立てますか?」みたび、声をかける。「はい。」でも、立ち上がれない様子。しゃがみこみ、しばし成り行きを見守る。エンジ色の手袋をした手をつき立ち上がろうとする。なかなか立ち上がれない。腕を支え、手伝ってみる。細い腕だった。「うぅっ」と声を出しながら、なんとか立ち上がった。辛そうだ。「大丈夫ですか?もし辛かったらそちらに座って休まれたら?」と、歩道の端の縁石を指す。私の目をじっと見つめ「あ~あなたはいいひとだ。」と男性は言う。ヤベー。早くこの場を立ち去らなければ。でも、額から鼻のあたりが流血してる。もう一度、「あなたはいいひとだ」急げ。「ち、血がでてますよ。」たじろぐ男性。とりあえず、2、3枚ティッシュを渡す。そして慌てて全部渡す。「ど、どうぞ、使ってください。」そして最後に「大丈夫ですか?」と逃げ腰で尋ねる。「はい。大丈夫。」よし!退散。「ではお気をつけて。」早歩きで家路に向かう。ダメだ、早く歩けん!このブーツめ!!!男性から遠ざかったところで、全力で走る。しかし、はたから見たら、パントマイムなみの走りだろう。なんとか、無事到着。ゼーハーゼーハー。目の前で人が倒れているのに遭遇したのはこれで4度目。初めては、小学校2年。マンションから落ちたばかりの、飛び降り自殺した男性。駄菓子屋に行く途中に遭遇。お菓子を食べながら成り行きを見守った。2度目は、大学1年の時。これまたマンションの下でうつぶせに倒れていた男性。飛び降りかと思ったが、酔っ払ってうつ伏せに眠りこんだらしい。3度目は、自転車でダイブして転んだ中年女性。運転が得意じゃないらしかった。そして今回。ってか、自身もやったことがある。高校生の頃、駅の階段を駆け下り、足を引っ掛けダイブした。うつ伏せに倒れこみ、恥ずかしさのあまり気を失ったフリをしたが、誰も助けてくれなかった。仕方なく人の流れが落ち着いた頃を見計らって起き上がった。みなさんも気をつけましょう。今日は長文につき失礼いたしました。では。