心の栄養
最近パソコンの調子が悪くて こうして文章を打っているとすぐにフリーズしたり途中で消えてしまったり・・。日記のコメントを書いていただいていたのにお返事がすごく遅くなってしまって本当にごめんなさい。今日は今のところパソコンのご機嫌が良いようなので、コメントのお返事を書き、こうして日記も書いてみることにしました。 もう1ヶ月近く前ですが、上野の森美術館で開かれた山下清展に行って来ました。その日たまたま主人が午前中都内で仕事があり、私も一緒に行ったので、主人を待つ間 一人美術館へ。私には絵心など全くないし、絵の知識もないし美術館などという場所は自分には何となく場違いなところ・・というふうに勝手に思っていました。草津で、片岡鶴太郎美術館に行ったことがあるくらい。すごい才能のあるお二人の作品に私みたいなド素人がこんな表現をするのはまことに申し訳ないことだと思うのだけど、鶴太郎さんの絵も、山下清さんの絵も私にはどこか「かわいい」と思えるのです。もちろん、すごいし素晴らしい作品だと思うのだけど、その中に 私はどこかかわいらしさみたいなものを感じてしまうのです。そのすごい作品の中に私なりの、その絵のかわいらしさを見つけたものが私の好きな絵になっているようです。だから山下さんの絵も鶴太郎さんの絵も大好きなのです。さてさて 山下清展。すごい大盛況でした。山下清さんの作品が どれほど多くの人に愛されているか気付かされました。美術館というものは 人もまばらで、静かで 作品を一つ一つゆっくり見てまわる・・というイメージがありましたが、あまりにも人が多いので 流れに沿って動かなくちゃいけません。私が一つの作品の前で じっくり見ていると後に続く人たちがどんどん詰まってしまうのです。確かに思うように心行くまで見ていられたわけではありませんでしたが、本当に本当に行ってよかったです。最近 歳のせいか涙腺がゆるいので作品に感動して泣きそうになることもしばしばありました。清さんの絵は どこかかわいらしく、そして懐かしく、親しみやすく何よりあたたかい。本当に素晴らしかったです。清さんが子供の頃、初めて貼り絵に出会ったころの虫の貼り絵や、学園での生活を描いた作品から鉛筆画、ペン画、水彩画、油彩、版画、壷や皿などの陶器の絵付けまで実に様々な作品が間近で見ることができ、色んなエピソードを知ることができました。私たちがテレビで見ていた「裸の大将」はかなりデフォルメされた部分が多く、ご本人の清さんは違和感を抱いておられたことも初めて知りました。清さんが放浪中に着ていたゆかたや、しょっていたリュックなども展示されていて、なんだか感動しました。リュックの中には護身用にいつも石ころを何個か入れていたなどというエピソードも面白かったです。清さんの強い要望で行ったというヨーロッパの旅。ヨーロッパでの作品で、パリの人が心なしか鼻が高く描かれているのも面白かったし、清さんの作品の中の人の顔はとてもかわいらしく感じます。作品の中でも特に圧巻はやはり貼り絵で、本当に細かい色紙を重ねて貼ってあり、それであの微妙な色合いを出しているのです。色紙をちぎるのも、貼るのも全て手作業で。作品を見ながら、この小さな色紙一つ一つを清さんが貼ったのだなぁと思うと感動してしまいました。清さんという人は すごい集中力を持っていて色紙をちぎったり、貼ったりするのも驚異的な速さだったのだそうです。もちろんものすごい根気のいる作業であったことは確かなわけで、清さんは天才だったのだと心から思いました。貼り絵の他の作品もどれも素晴らしく、特に私は清さんのペン画がとても好きになりました。作品のほかに、すごく楽しませてくれたのが色々紹介されている清さんの文章でした。『長崎の岡政というところで僕の展覧会があった 食堂で飯を食べていると僕の前にいる人が「わしも山下清に毛がはえたような男です」と他所の人に話していた僕はびっくりして「僕に毛が生えるというのは どういうわけですかどこに毛が生えるとあなたになるのですか」と聞いたら みんながどっと笑った』これを読んだときは私も吹き出してしまって、隣で同じく読んでいたおばさんと一緒になって笑ってしまいました。清さんは、46歳で亡くなりました。花火が大好きだった清さんの最後の言葉は「今年の花火見物はどこに行こうかな」だったのだそうです。これには思わず涙が出ちゃいました。山下清さんという人は その人柄も作品も本当にみんなに愛されているのだと思います。美術館で清さんの作品を見ている人たちの顔はみんな優しい笑顔でした。興奮冷めやらぬ私は どうしても主人にも清さんの作品を見せたくて作品集を購入。 作品だけでなく、清さんの書く素直な文章がすごく好きになってしまい、買った本です↓まだ読んでいないので、読み終えたらヨーロッパぶらりぶらりも読んでみたいです。 週末、自虐の詩の映画を見て来ました。堤監督の作品はキャスティングも面白い。この作品、笑えるし、それに感動しました。あのちゃぶ台返しはすごい!見る価値ありです(^^)これは 愛のはなしなんですね。夫婦愛はもちろんですが、私は特に友情の方で泣かされました。熊本さん、最高でした! 映画だったり、本だったり、絵だったり。いいものに触れて 心から感動する。それはきっと心の栄養になっていく。そういうものに いっぱい出会っていきたいな。 design by sa-ku-ra*