月に咲く花の如く#19 あらすじ
那年花开月正圆 Nothing Gold Can Stay第19話「託された将来」体調不良が続き、薬店で脈診を受けていた周瑩(シュウエイ)。しかし客の立ち話で呉蔚文(ゴイブン)が亡くなったと知り、診断を聞かぬまま呉家東院へ駆けつける。すると屋敷は人けがなく、閑散として荒れ放題だった。一体、呉家東院に何があったのか。周瑩はひとまず義父母の正院に向かった。そこでちょうど侍女・夏蓮(カレン)と出くわし、義母なら部屋にいるという。「戻ったのは少奶奶だけです…(꒦ິ⌑꒦ີ)」義母は床にふせっていた。周瑩が寝台に駆け寄ると、憔悴しきった鄭(テイ)氏は冤罪だと喉から絞り出すような声で訴える。張(チョウ)媽の話では義父は急病で獄中死、状況がはっきりしないため二叔の指示で葬儀も簡素に済ませたという。そこへ周瑩が戻ったと聞いた春杏(シュンキョウ)、宝来(ホウライ)、福来(フクライ)が駆けつけた。実は東院の使用人たちは知らぬ間にほとんど逃げ出し、中には金目の物まで奪っていった者までいたらしい。結局、残ったのは別院の3人だけだった。その時、家職・楊之渙(ヨウシカン)が別れの挨拶に来たと叫ぶ声がする。また東院を見捨てて行く者がひとり、しかし周瑩は会ってみることにした。楊家職は周瑩の姿に驚いたようだった。今年で50歳になるという楊之渙、さすがにこの災いは堪えたと肩を落とし、今後は故郷で心穏やかに暮らしたいという。周瑩は引き止めはしなかったが、なぜ安泰だった東院がこんなことになったのか聞いた。すると楊之渙からようやく事情を知ることになる。事の発端は薬材の蔵で死んだ沈月生(シンゲッセイ)だった。「老爺と私は現場の蔵で偽の血竭(ケッケツ)を見つけました、松脂(マツヤニ)を染めた物です 欽差(キンサ)大臣が来る直前ゆえ、ひとまず偽物を隠したんです まさかそれが偽造の証拠となり、老爺が罪人になってしまうとは…」「でも何でまた偽物が?」「老爺と私の推測では沈月生が東院を陥れようとしたのかと… ですが沈月生が謎の死を遂げたので、うやむやになっていたのです」周瑩は偽の血竭だけで断罪されたのかと驚いた。しかし楊家職の話では偽物が入っていたのは古月(コゲツ)薬材店の袋で、胡志存(コシソン)が義父に指示されたと証言したという。さらに楊之渙は拷問で傷だらけになった手を見せた。楊家職は決して老爺を裏切らなかったが、佟(トウ)番頭は耐え切れず老爺が胡志存に偽装させたと認めてしまったという。悔しさのあまり地団駄踏む楊之渙、すると周瑩はその足でどこかへ出かけていった。涇陽(ケイヨウ)県署の太鼓が鳴り響いた。県令・趙白石(チョウハクセキ)は民の訴えを聞くべく開廷、平伏していた民が顔を上げると、あの周瑩だと知る。「趙大人(ダーレン)、呉家の濡れ衣を晴らしてください!」「棒打ち20回に耐えねば訴えが受理されないと分かっているのか?」「汚名をすすげるなら喜んで!…このままでは私の心が棒打ち20回より痛むのです!」周瑩は義父の信念が″誠″と″信″だったと訴え、かつて自分が血竭は杜鵑花(トケンカ)で代用できると提案した時も、烈火のごとく怒ったと話した。そんな義父が杜鵑花より効果が劣る松脂を使うわけがない。しかし趙白石は呉蔚文が罪を認め、実際、楊家職に指示して証拠を隠していたと言った。周瑩は強要されて自白したのだと反論、一時しのぎで偽造品を隠したのだと説明する。胡志存の偽証も義父への恨みからであり、佟番頭の証言は拷問によるものだ。すると趙白石はああ言えばこう言う周瑩に苛立ち、不届き者と声を荒げた。「どうせ呉蔚文は極刑に処されていた、それでも財産は一部が没収されただけだ 主人以外は全員、無事、十分、酌量しておる! 鄭氏を流刑にし、兄弟たちまで連座させ、呉家東院の屋敷を召しあげることもできるぞ?」思わぬ県令の脅しに周瑩は黙り込んだ。「周瑩?そなたは災民の救済に貢献したゆえ今日の件は水に流す ただし軍需品の件は解決した、また軽率なことをすれば今度は容赦せぬぞ!閉廷!」周瑩は役所から放り出された。そこに王世均(オウセイキン)が現れ、なかば強引に周瑩を連れて人けのない河原まで引っ張って行く。すると急に周瑩に渡したい物があると言って小箱を渡した。その中には″式易堂大印(シキイドウダイイン)″が入っている。呉家の掟によると式易堂大印を持つ者が東西南中の四院を束ねる大当主になると言うのだ。呉蔚文は連行される前、呉聘(ゴヘイ)が仕事を任せたことがある王世均を信じ、この印を託していた。自分が生きて戻らなかった時は周瑩に渡すようにと…。実は呉聘の墓前で周瑩を待っていたのも、高陵(コウリョウ)の屋敷を用意して世話をしたのも、全て呉蔚文の指示だったという。周瑩はようやく気づいた。義父は大事になることを予見し、自分や叔父たちが連座せずに済むよう絶縁したのだと…。「私を守るためだったのね…」「守りたかった人は他にもいます…お腹の子です」「何ですって?子供がいるの?」唖然とした周瑩だったが、あの体調不良はつわりだったのだと合点がいった。「呉聘…子供ができたわ、呉聘、私たちの子よ?!」。゚(∩ω∩`)゚。一方、沈星移(シンセイイ)はすっかり心を入れ替え、仕事に精を出していた。そんなある日、沈四海(シンシカイ)は椅子に腰掛け、だらしなくうたた寝している星移を見て憤慨する。しかし妻から怒らぬよう止められ、星移が荷運びで街を駆け回り、力尽きて帰ってくると聞かされた。沈四海は初耳だと驚いたが、実は星移が父に言わないよう口止めしたとか。そこへ家職がやって来た。杜明礼(トメイレイ)が訪ねて来たという。沈四海は金の要求だと思い、杜明礼に貝勒(ベイレ)のおかげで恨みを晴らせたと銀票を差し出した。しかし杜明礼は突き返し、貝勒がさらなる恩を施してくれると言ってある紙を渡す。それはこれまで呉家東院が一手に引き受けて来た軍需品の注文書だった。敵討ちを果たせただけでなく、まさか褒美までもらえるとは…。沈四海は感激もひとしおだったが、実は条件があった。「この取引の利益を分けてくれればいい、沈家7割、隆昇和(リュウショウワ)3割の取り分で」杜明礼は軍需品が毎年、発注される上、今は薬材だけでもいずれは馬や布、兵糧にも及ぶと説明する。呉蔚文が涇陽一の商人にのし上がれたのは軍需品の取引のおかげ、後釜に座りたいなら機会を逃さぬことだと懐柔した。李(リ)大人の幕僚・張長清(チョウチョウセイ)が趙白石に会いに来た。趙白石は西安知府(セイアンチフ)に昇進、左(サ)大人が亡くなって今後はその勢力が衰え、陝西(センセイ)の政情に新風を吹き込めると期待する。しかし張長清は本当に無邪気だと白石を揶揄した。「陝西の巡撫(ジュンブ)以下の官職に誰が据えられたと?」「ぁ…貝勒爺の息のかかった者でした」趙白石は今後も陝西で孤軍奮闘を強いられることになるだろう。すると張長清は最後に忠告しておいた。「ある人物に注意しろ、隆昇和の店主・杜明礼だ、あいつは只者ではない」杜明礼は馬車で移動中、古月薬剤店をあとにする胡咏梅(コエイバイ)を見かけた。どうやら店を閉鎖したらしい。実は胡志存は呉蔚文を陥れたことが分かってから自責の念に駆られ、証言を撤回すると言い出した。杜明礼がとりなしていなければ貝勒に斬られているところだったという。貝勒はこのまま胡志存を監禁しておくつもりらしいが…。周瑩が義父の墓に行ってみると、ちょうど鄭氏が供養に来ていた。「老爺…非業の死を遂げるなんて…悔しいわ…」周瑩は覚悟を決めて涙に暮れる義母の隣に座る。「ディェ、周瑩が戻りました お望みならこの印は引き継ぎます、私に務まるかどうか、やってみなければ分かりません …ですがお腹の子のためです」鄭氏は耳を疑った。しかし周瑩がはっきり東院に後継ができたと知らせる。それまでふさぎ込んでいた鄭氏は久しぶりにぱっと明るい笑顔を見せ、小さな命に希望を託した。周瑩は周老四(シュウロウシ)に呉家東院に戻ると言った。東院を立て直せるのは自分だけしかいないという。そこで式易堂大印を見せ、呉蔚文が自分を呉家の大当主に指名したと教えた。周老四はどうせ無理だと一笑に伏したが、周瑩は義父の信用を裏切れないという。実は他にも離れられない理由があった。「私、身ごもったの」周瑩は子供を産んで跡継ぎとして育て、呉家東院を再建させたらこの印を引き継がせると話す。「でぃぇ…私のそばにいてくれない?」「寡婦として家を守るお前のそばに?…真っ平ご免だね~」そう言って周老四は歩き出したが、ふと立ち止まった。「残るとすれば…孫の面倒を見るためだ」周瑩は証人として王世均を伴い、六椽(ロクテン)庁に叔父たちを呼んだ。叔父たちは式易堂大印を穴があくほど眺め、本物かどうか確認している。そこで王世均が事情を説明した。印は確かに老爺から直接、渡され、騒ぎが収まってから若奥様に渡すよう命じられたという。周瑩は東院の者では連座される恐れがあり、学徒房の生徒に預けたのだと言った。叔父たちは確かに大兄が考えそうなことだと納得したが、周瑩が掟を持ち出すと態度が一変する。誰より周瑩を疫病神だと毛嫌いしていた四老・呉蔚全(ゴイゼン)は印が本物だと認めても周瑩は認めないと言い放ち、さっさと帰ってしまう。二老・呉蔚武(ゴイブ)は角が立たないよう、この件はまたゆっくり話し合おうと言いながら、今後は大した用がなければ六椽庁には来ないと言って出て行った。すると最後に残った三老・呉蔚双(ゴイソウ)は苦笑いしながら、周瑩に印を返す。大兄が死んだ今では兄弟の結束力も維持できず、もはやその印は意味をなさなくなったというのだ。「東院は東院で頑張りなさい」周瑩から弟たちの話を聞いた鄭氏は憤慨した。夫がいた頃は東院にすり寄って来たくせに、夫が亡くなるや否や手のひらを返すとは…。しかし周瑩は人情など移ろいやすいとなだめ、それが世間だという。鄭氏は急に虚しくなり、印だけ残されても何にもならないと嘆いた。すると周瑩は十分使えるという。「ほら、文鎮にもなるし〜泥棒が来たら…えいっ!…と投げつけることもできる! つっかえにもなりますよ?」鄭氏は思わず失笑すると、周瑩は自分に考えがあると言った。「大当主になるのはあきらめるけど、東院の財産は返してもらいます」周瑩は王世均から印を受け取った時、ある話を聞いていた。呉家の掟によると署名と母印だけの契約書は無効、つまりこの式易堂大印を押していなければ意味がないという。実は呉蔚文が弟たちに渡した証文には式易堂大印がなかった。つづく(,,Ծ‸Ծ,,) 沈家も趙白石も嫌いだっ!