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カテゴリ:星漢燦爛(セイカンサンラン) 全56話
月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話) 第55話「肩を並べる時」 楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。 違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。 その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。 「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」 少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。 「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」 少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。 少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。 すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。 度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。 そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。 少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。 「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」 「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」 ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。 楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。 「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」 女はいきなり楼縭の腹を刺した。 「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」 「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」 楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。 霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。 一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。 その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。 しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。 袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。 「少商?!無事か?!」 「なぜあなたがここに?」 不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。 「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」 「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」 「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」 その時、楼縭を殺した女が現れた。 「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」 少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。 王延姫は面紗を外して正体を明かした。 「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」 地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。 どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。 「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」 少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。 しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。 「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」 その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。 産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。 仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。 夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。 復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。 「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」 「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」 「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」 不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。 「あなた…どうして私だけ置いていったの?」 すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。 楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。 「その言葉をあなたに送るわ」 しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。 王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。 すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。 その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。 「若主公!」 梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。 そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。 「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」 少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。 梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。 「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」 梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。 その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。 しかし不疑は…。 少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。 「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」 不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。 「若主公…」 霍不疑は生きていた。 不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。 「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」 少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。 その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。 「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」 崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。 「…楼垚?私ならここよ」 「(はっ!)良かった!」 楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。 田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。 しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。 「少商、危険な任務になるぞ?」 「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」 「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」 こうして2人は県庭の前で別れた。 郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。 「三皇子、息災のようだな?」 皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。 劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。 「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」 「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」 しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。 「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」 田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。 つづく ( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.03 20:00:09
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