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カテゴリ:覆流年〜復讐の王妃と絶えざる愛〜全30話
覆流年 Lost Track of Time 第14話 陸安然(ルーアンラン)は厚かましくも自分を牽制しようとした陸欣然(ルーシンラン)にどちらが本当の主か分からせた。 欣然はなぜ安然が王妃の寝殿に詳しいのか分からず、恐ろしくなってしまう。 「私を怒らせない方がいい、それで徐清策(ジョセイサク)の遺体をどうするつもり?」 すると欣然は科挙の件で追及されるのが嫌で、安然を黙らせるために遺体を盾にしたと白状した。 「そうならそうと言ってくれればいいのに…」 そこで帰り際、安然は庭の槐(エンジュ)の木を切れば時折、聞こえる不気味な泣き声が消えると教えてやった。 安然は今回の不始末を追及される覚悟で慶(ケイ)王に目通りした。 しかし穆澤(ムーヅー)は上機嫌、聞けば朝議で厳(ゲン)尚書の遺書を証拠に翊(ヨク)王を糾弾し、反腐敗派の高官たちから支持を得ることに成功したという。 蔡望津(サイボウシン)の話では慶王が最後に徐清策の名誉回復を訴えたことが決定打となっていた。 「″なぜ厳尚書を守れなかったのか″と嘆いてみせたのだ、皆、感動していたぞ?」 その時、安然は全く同じ局面があったことを思い出した。 かつて徐清策が翊王に殺された時も穆澤の口から同じ言葉を聞いている。 『なぜ徐兄を守れなかったのか…』 当時も穆澤は朝議で徐清策の名誉回復を訴え、高官たちの支持を得ていた。 今になって思えばあの時も穆澤が反腐敗派の旗手として名を上げた徐清策を殺し、その罪を翊王に着せたのだろう。 「あなただったのね…」 まさかこんな恐ろしい人間と10年も枕を共にしてきたとは…。 安然は急に気分が悪くなり、思わずその場にへたり込んでしまう。 すると安然の露骨な嫌悪感に憤慨し、穆澤がそばまでやって来た。 「どうした?そんなに腹立たしいのか?朝廷とは冷たく残酷な世界だ 今日のところは大目に見るが、そのような態度は2度とを許さぬ」 一方、穆川(ムーチュワン)は科挙の徐清策の名誉回復に奔走していた。 しかし証拠となる科挙の答案が全て燃えかすとなり、なす術ない。 すると貢院の傅与南(フヨナン)が思いがけず答案を持って現れた。 実は万が一のため、今期の答案だけは場所を移して保管していたという。 穆川は改めて答案を採点し合格者を発表、徐清策は第一位の状元となった。 穆澤は朝議の後、穆川を連れて廃墟と化した寝殿を訪ねた。 穆澤と穆川の母は身分が低く、早世している。 残された幼い兄弟は何の後ろ盾もなく冷遇され、この部屋で肩を寄せ合い生きて来た。 実は当時、穆川は空腹の兄に最後の焼餅(シャオビン)を譲り、飢え死にしかけたことがある。 「あの時、誓ったのだ、絶対にお前を守ると…」 「そのために誰かを傷つけても?」 穆澤は徐清策が正義のため命を捨てると思わなかったと嘘を付き、自分を疎む父皇や翊王と戦う必要があると訴えた。 「約束する、もう誰も死なせない、私を許してくれるか?」 「悲しいけれど他に道はないんだね、これは皇族の悲哀か、世の定めなのか」 すると穆澤は九弟だけは権力争いに巻き込まれて欲しくないと願った。 「おまえは稲香居士(トウコウコジ)のままでいろ、決して失望させない」 安然が徐清策の遺品をまとめていると、冬青(ドンチン)が駆けつけた。 「陸欣然が独りで外出したそうです、ただ蔡望津も両親の墓参りに行ったとか…」 安然は当時を思い出してぴんと来た。 あれは安然が出産して間もない頃、欣然から赤子の健康を願うお守りをもらっている。 欣然はお守りをもらいに行った時に賊に襲われ、危ないところを墓参りに来ていた蔡望津が助けていた。 確かその時、欣然は背中に刀傷を負い、蔡望津が薬草で手当てしている。 「やはり今度も2人は寺へ行ったのね…行きましょう」 陸欣然は人里離れた草屋に入っていた。 なぜ過去を変えても同じことが起こるのか。 安然は困惑しながらも、ともかく欣然が帰るのを待ってから寺を訪ねた。 そこには怪しい祈祷師が独り、何でも占いで安然が来ると分かっていたという。 「心配せずとも先ほどの娘の求めは拒んだ あの娘の目の奥に血が見えたのだ、それも近しい家族の血が… 血に染まるのは我が寺の呪物、とてつもなく邪悪で陰惨な呪いがかかっている」 祈祷師はその呪物を安然に見せた。 それは忘れもしない欣然が息子にくれたお守り、まさかこれが息子の健康を願うためではなく呪うためだったとは…。 するとやはり欣然はその日、背中を負傷、翠翠(スイスイ)の話ではすでに手当てされていたという。 穆川が葡萄棚の手入れに来た。 この時期に葡萄を帷で覆って温室にするとあとが楽だという。 安然は火の番をすることにしたが、穆川は浮かない顔をしていた。 「実は二哥と話したんだ…やはり放ってはおけない …安然、君は退路を残しているのか? 君が秘密を抱えているのは分かっている、鍵を握るのは二哥、陸昀(ルーイン)、陸欣然だ 二哥は朝廷争いの渦中、そばにいれば君も陸家も飲み込まれるぞ? 私を信じてくれ、何が起きようと君と共に戦う 言えないなら無理に言わなくていい、自分を追い詰めるな」 しかし安然は頑なままだった。 穆川は困惑したが、ふいに安然が振り返る。 「腕輪の刻印を見たわ、逃げ道はある、もう少し待っていて欲しい」 「待つよ」 そんな中、陸昀がいつの間にか書き置きを残し、屋敷を出て行ったと分かった。 …大姐、これからは思いのままに生きていきます …二姐を憎まないで、学長の暗殺計画を教えてくれたのは彼女なんだ 穆川は欣然が計画を知ることができたのは二兄が指示したからだと分かった。 「欣然はこの機に乗じて私を殺そうとしたのね…」 安然は欣然への憎しみを募らせ、必ず片をつけると誓った。 安然は慶王府を訪ねた。 屋敷は慶事の準備で大忙し、聞けば慶王が蕭映(ショウエイ)将軍の妹・蕭驚雀(ショウキョウジャク)を側室に迎えるという。 …驚雀を娶るのは数年後のはず、なぜ今なの?… 穆澤は安然を蕭将軍を紹介するために呼んでいた。 すると蕭映は妹が輿入れするにあたり、安然が王妃だった時と全く同じ条件を出す。 「正室と同等の待遇にて妹をお迎えいただきたい」 そこで安然も当時と同じ言葉で将軍を諌めた。 「苦労して地位を築かれた殿下が妻を軽んじる愚か者だと嘲笑されても構わないと?」 実は安然には妙案があった。 「婚礼のあと、高貴な婦女たちを招いて宴を開いては? 殿下の蕭家への敬重と蕭小姐への愛慕を皆に示せます」 安然はほくそ笑んだ。 家柄で勝る蕭驚雀の登場は陸欣然のとどめとなるだろう。 一方、欣然は慶王が側室を娶ると聞いて激しく動揺していた。 「闘わなくては…策を考えるのよ」 穆川の念願だった食糧庫・太平倉ができた。 そこで安然を驚かせるため、目隠しして案内する。 実は太平倉は科挙の件で父皇からもらった褒美だった。 「瀚京(カンケイ)だけでなく、各地に建設命令を出してくれた 陸家の港がある町、すべてに朝廷の倉庫が作られる」 つづく (  ̄꒳ ̄)ムーヅーとアンランは怒ってる時の方が上手いね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.01 11:16:03
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