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カテゴリ:覆流年〜復讐の王妃と絶えざる愛〜全30話
覆流年 Lost Track of Time 第16話 陸安然(ルーアンラン)は慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)に別れを告げ、屋敷に戻った。 すると娘の帰りを待っていた陸軽舟(ルーケイシュウ)にいきなり引っ叩かれてしまう。 「お前の企みか?こんな手段で陸家を守るなら命をかけても止めるべきだった!」 いくら欣然(シンラン)の醜聞が自業自得とは言え、姉として妹を諭すどころか、それを利用して名誉を傷つけるとは…。 しかし安然は決して過ちを認めなかった。 「王府に嫁いでこんな騒ぎを起こし、放置すれば災いは陸家に及ぶ、それだけはさせない 爹(ディエ)、弁解はしません、こうなると分かっていたわ、だから後悔はしていない」 陸軽舟は口答えした娘に激怒、反省するまでひざまずけと命じて行ってしまう。 その夜は激しい雨になった。 穆川(ムーチュアン)は葡萄棚を心配して様子を見に来たが、びしょ濡れのままひざまずく安然を見つける。 驚いて駆け寄る穆川、すると安然は安心したのか意識を失った。 沈蘭渓(シンランケイ)は娘がうなされながら斉(セイ)王の名を呼ぶのを聞いて2人の関係に気づいた。 そこで気を利かせて斉王に介抱を頼んで出て行く。 夫は口には出さないが、窓を開けて安然の部屋を心配そうに眺めていた。 「…大夫の話では悩みを抱えた上、長期の疲労で身体に邪気が入ったとか 私には分かります、あの子のしたことは全て陸家のためよ」 陸軽舟は安然が独りで全てを抱え込んでいたと知り、むやみに叱ったことを後悔した。 夜も更けた頃、安然は目を覚ました。 穆川はまだ熱があると気づいて眠るよう勧めたが、安然はこんな平穏な時を寝て過ごしてはもったいないと笑う。 「用が済んだら蘇城(ソジョウ)へ戻るわ、2度と都へは戻らない」 「水利が整ったら会いに行くよ、明日の開耕式には来いよ?」 その頃、穆澤は侍衛の南星(ナンセイ)から新たな塩と鉄が到着すると聞いていた。 「今や港は混乱し、よからぬ輩も紛れ込んでいる、決して見つかるなよ?」 翌朝、安然の寝所に父と母がやって来た。 父は薬湯を置いてすぐ店に出かけて行ったが、安然は母が取りなしてくれたのだと気づく。 すると沈蘭渓は珍しく娘が着飾っていることに気づいた。 「なぜ今日はおめかしを?」 「逢引きよ、ふふ」 沈蘭渓は娘の戯言に呆れたが、安然は至って真面目だった。 「今まで時間を無駄にしてきた、今さら恥じらっていたら大損しちゃうわ」 そこで沈蘭渓は自分のかんざしを外して安然の髪に挿した。 そのかんざしは陸家に嫁いだ時、夫からもらったものだという。 「斉王殿下は温かくて誠実な方ね…きっと最良の伴侶になるわ」 沈蘭渓は明朝に夫と蘇城へ戻るため、今夜は斉王を招いて食事をしたいと言った。 「分かったわ、娘(ニャン)、ご馳走にしてね、必ず殿下と戻るから!」 安然は笑顔の母に見送られ、開耕式に出かけて行った。 開耕式には多くの農民が集まった。 穆川は安然に新種の稲の名前を″安心稲(アンシントウ)″に決めたと教えたが、実は安然はその由来を知っている。 「衣食足ること安心の始めなり…って意味でしょう?」 かつて穆川は慶王府に新種の稲を届け、名前の由来を明かしていた。 しかしそれは表向きの説明だという。 すると穆川は安然の手を取った。 「″安″の文字は安然から取った、君は自分を瀚京(カンケイ)という牢獄に閉じ込めてしまっただろう? だから君が国中を歩く代わりにこの稲を各地に植えようと思ったんだ ″安心″は個人的な願いだ」 安然は当時も籠の鳥になった自分のために穆川が心を痛めてくれていたと知った。 「何も気づかなかったなんて…ありがとう 私は近々、蘇城へ戻り、あなたと離ればなれになってしまう、それに今の陸家は…」 「身分などすぐ消える煙と同じだ、私は気にしない…私が戻る場所は君だ」 一方、埠頭では思わぬ揉め事が起きていた。 衫越(サンエツ)が荷揚げしていたところ、2組の客が荷の取り合いになり、乱闘騒ぎになってしまう。 困った衫越は屋敷に駆けつけが、安然は留守だった。 沈蘭渓は夫が仕事中のため自ら仲裁に出かけたが、混乱の中で何者かに頭を殴られ倒れてしまう。 実はその騒ぎを利用し、南星が港から密かに塩や鉄を運び出していた。 その頃、安然は開耕を祝い、農民たちの輪に入って穆川と一緒に踊っていた。 「前に″待って″と言ったでしょう?今日やっと言える…」 しかし大事な言葉を伝える前に思わぬ訃報が届く。 「小姐!大変だ!」 …まさか、運命を変えたはずなのに… 安然は母の棺を前に取り乱した。 心配した穆川は安然を慰めようとしたが、激しく拒絶されてしまう。 「穆川、帰って…帰ってよ!」 穆澤は投獄された蔡望津(サイボウシン)に会おうとしなかった。 しかしその夜、蔡望津からある思い出の品を受け取り、ついに地下牢へ向かう。 すると穆澤はいきなり短剣を牢へ投げ入れた。 「あの時の短剣をまだ持っていたとはな…」 …あれは蔡望津が賊に襲われ、瀕死の使用人から食料を取り上げようとしている時だった ちょうど軍営に戻る途中だった穆澤が通りかかり、見咎められてしまう 『食い扶持は自分で稼げ、その気骨もないなら死ぬがいい』 すると穆澤は自分の短剣を投げ渡して帰った そんなある日、蔡望津が首級を持参して穆澤の軍営に現れた 『殿下のお陰で己の尊厳を取り戻し、立ち直りました!』 実は蔡望津は科挙の論文で先帝の実名を書いて罰せられ、一族全員が流刑になった しかし途中で山賊に襲われ、自分だけ生き残ったという 『殿下の叱咤で仇打ちの決意を…このご恩は忘れません』 蔡望津は穆澤のために命懸けで働くと約束、忠誠を誓った… 「あの時の短剣と小指を添えれば許してもらえる思ったか?」 「殿下…許しを請うつもりはありません、ただどうしてもご忠告したくて… 陸安然に用心してください」 慶王が陸安然と盟約を結んでから計画は失敗続き。 確かに安然の関与を示す証拠はないが、蔡望津はそれがかえって怪しいという。 思えば安然を救ったという闇医者は行方知れず、投獄した柴広(シバコウ)は何者かが逃がしていた。 学長に差し向けた刺客は全滅したが、遺体の傷は明らかに清河幇(セイカホウ)の手によるもの、しかも水雷が使われた形跡もあったという。 しかし穆澤は安然が自分の計画を阻止して何の得があるのか分からなかった。 すると蔡望津はある可能性に気づいたという。 「陸家を朝廷の闘争から遠ざけるためかと…」 安然は母の棺の側から片時も離れなかった。 「娘…こんなに力を尽くしても救えなかった、何をしても無駄なの?」 そこへ穆川がやって来た。 「さっきはごめんなさい」 「怒っていない、誰にも謝る必要はないよ」 穆川にできることは傷ついた安然にただ寄り添うことだけだった。 「私の人生は苦しみばかり…私が悪いのなら天はなぜ私ではなく家族を罰するの?」 「大丈夫、今に幸せになるよ」 「こんなに努力しても悲しい結果になるなんて、どれだけ頑張ればいいのか…」 「君は幸せになる、必ずね」 つづく (꒪ꇴ꒪〣)うわっ!シナリオを変えても宿命は変えられないのね…助けて司命! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.03 11:52:48
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