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カテゴリ:覆流年〜復讐の王妃と絶えざる愛〜全30話
覆流年 Lost Track of Time 第28話 穆川(ムーチュアン)は陸安然(ルーアンラン)を逃がすため、堰堤(エンテイ)の完成式典に乗じて王府から連れ出すことに成功した。 穆澤(ムーヅー)は南星(ナンセイ)に追跡させていたが、現地に到着したのは替え玉の冬青(ドンチン)だったと判明する。 慌てて捜索するも手遅れ、安然の姿は見つからなかった。 穆澤は安然の寝殿の前で座り込み、肩を落とした。 …もう戻らぬだろう… しかしその時、安然がひょっこり帰ってくる。 「安然!戻ったのか!良かった、良かった…」 思わず安然を抱きしめる穆澤、実は安然は穆川の計画を断っていた。 『あなたが死んだと思い込んだ時、あなたを失う苦しみに耐えられないと分かったの あなたを残して独りで逃げることなんてできない、私を信じて、すぐに終わる』 蕭驚雀(ショウキョウジャク)は亡き兄の敵を討つこともできず、虚しい夜を過ごしていた。 すると嬷嬷(モーモー)・容沛(ヨウハイ)から思わぬ話を聞く。 実は安然が朝廷に水運を差し出したのは、皇帝に斉(セイ)王との仲を知られたからだった。 「皇上は警告する意味で水運を召し上げたのです 兄弟で陸安然を取り合って慶(ケイ)王府が混乱し、その巻き添えで蕭将軍が殺されたと訴えては?」 翌朝、驚雀は穆澤の目を盗んで王府を抜け出し、皇帝がいる書房へ乗り込んだ。 門衛は直ちに慶王妃を拘束して引きずり出そうとしたが、驚雀は諦めきれず大声で嘆願する。 「皇上!話があります!兄は殺されたのです!皇上!」 そこへ騒ぎに気づいた皇帝が現れた。 蕭驚雀は陸安然が王府に嫁いでからも斉王から寵愛を受けていたと讒言した。 それを知った兄・蕭映(ショウエイ)は慶王を守ろうとしたが陸安然の罠にかかり、誤解した慶王に殺されてしまったという。 皇帝は激怒、蕭家の恨みを自分が晴らすと約束した。 何も知らず翊(ヨク)王に目を光らせている穆澤、すると突然、父皇の使いが現れる。 「殿下、側夫人と共に早急に参内せよとのご命令です」 一方、穆川のもとにも参内するよう知らせが届いた。 聞けば蕭映の死について蕭驚雀が皇帝に直訴したという。 穆川は安然の関与が暴かれれば命の危険があると気づき、慌てて父からもらった折り本を探し始めた。 穆澤は父皇に追及されても何も知らないと誤魔化した。 そこで皇帝は自分を謀った陸安然を即刻、斬首に処すよう命じる。 驚いた穆澤はひざまずき、蕭映を殺したと認めるしかなかった。 「陸安然は何も知りません、どうか解放してください」 安然は御前に戻されたが、皇帝がこれで許すはずもない。 その頃、穆川はようやく箱に入れたまま忘れていた折り本を発見、勅命に自ら名を記した。 皇帝は2つの卓を準備した。 今後、慶王として平穏に暮らしたいのなら料理が並んだ席へ、しかし皇太子の地位を望むのであれば壇上の卓へ来て酒を飲めという。 穆澤は迷わず金の酒器から酒を注いで飲もうとしたが、皇帝が止めた。 「待て、それは毒酒だ、それでも飲むのか?思い上がりも甚だしい!」 「…分かりました」 穆澤は仕方なく壇上を降りてもう一つの席に向かったが、皇帝は席に着く前に毒酒を陸安然に渡せと迫る。 「従わなければ慶王の座も失う、2人のうちどちらかが飲むのだ 陸安然、どちらを選ぶと思う?」 「…殿下の選択なら受け入れます、どんな結果でも悔いはありません」 どのみち穆澤は玉座に就けない。 安然はこれが最良の結末だとむしろ安堵していた。 穆澤は安然に杯を差し出した。 しかし生母へ毒酒を渡したあの時の辛い記憶が蘇る。 穆澤は思わず安然の手を止めたが、その時、突然、穆川が現れた。 すると穆川は安然から杯を取り上げて投げ捨ててしまう。 「父皇にお見せしたいものがあります」 「川児よ、その決意は今後にも影響するのだぞ?覚悟の上か?」 「まだ分かりません、現実から逃げて臆病者になるべきか、権力を手に己が望まぬ者になるべきか 他の道を探しましたが、どこにあるのか見つからなかった ただ私にもかつての父皇のように全力を尽くして守りたい者がいます 以前は志を持つ者と共に奮闘すれば前途は開けると信じていた しかしながら志があるなら他人に頼るべきではない」 穆川は苦しむ民のため、愛する人のためにも権力を手に入れる道を選ぶと決めた。 「大殿は刑場ではありません、罪名さえ決まらぬ者を殺してはなりません」 「いいだろう」 皇帝は穆川に預けた勅命を引き取り、懐化(カイカ)将軍に封じて京畿(ケイキ)駐屯軍3万を率いることを命じた。 穆澤は喉から手が出るほど欲しかった権力を無欲な九弟にあっさり奪われた。 呆然としたまま慶王府に到着した穆澤、しかし安然は激動の1日を過ごしても相変わらず冷静さを失わない。 「陸安然、私に嫁いだことを後悔しているか?」 「陸家が平穏ならそれ以上は望みません、慶王の栄華は約束された、それで十分です」 しかし穆澤は飼い殺しでしかないと怒り狂い、この屈辱を必ず晴らしてみせると誓った。 「そなたも帰って休め」 穆澤は剣を片手に王妃の寝殿に乗り込んだ。 驚いた容沛は自分が入知恵したと訴え、慶王にすがりついて王妃の命乞いをする。 しかし覚悟ができていた蕭驚雀は死など恐れないと開き直った。 「よくぞ言った、ならどこまで意地を張れるか見てみよう」 すると穆澤は嬷嬷を刺し殺してしまう。 「あなたは冷酷な人よ…帝位についても蕭家を滅ぼしたわ!」 「ふっ、私を良く理解しているな」 「あなたを慕っていたなんて、私の見る目がなかった…愚かだったわ 幼い頃の優しさも全て計算ずくだったのね! …王府であなたを愛していたのは私だけだった、お前は2度と誰にも愛されない! それこそお前が受ける天罰よ!」 激高した穆澤はついに驚雀に剣を振り上げたが、そこに安然が駆けつけた。 「なりません!王妃は身ごもっています!」 安然は蕭驚雀が穆澤の子供を産んだことを思い出し、医者を呼んでいた。 すると思った通り驚雀が懐妊していると分かる。 「陸安然、どうして私を助けたの?」 「一途に想う相手となら仲睦まじく暮らせたはず、そんな時、家族を失った 似た境遇の知人がいて、つい口を出しただけ」 「…嫁いできたのは穆澤と戦うためでしょう?」 しかし安然は何も答えなかった。 「そうなのね、なら頑張って、失望させないで」 …運命の歯車は穆川と穆澤を敵対する方向に進ませ、皇宮内の情勢は急激に変化した しかしこの新たな展開は誰も幸せにはしなかった… そんなある日、安然は穆川から絹織物店に呼び出された。 店主は寸法を測ると言って安然を奥の部屋へ案内、すると穆川が現れる。 「君と会うのを避けてきたが、今後は私も遠慮しない、私が片をつける、早く終わらせたい」 穆川は愛する人を守るため玉座を目指すと決意、争いもやむを得ないという。 「そんな冷酷な顔、初めて見たわ…」 「仕方がないんだ」 年末が近づき、朝議では大晦日の燃灯大典が議題に上がった。 皇帝は例年と同じ様に行うと伝えたが、その時、穆川が今年の祈願役に名乗りをあげる。 先を越された翊(ヨク)王は欲深さが見苦しいと牽制したが、穆澤は九弟なら祈願役に相応しいと後押しした。 祈願役と言えば例年、翊王が担当していた。 穆霖(ムーリン)は穆川に横取りされただけでなく、式典の準備を押し付けられ納得できない。 すると秦野闊(シンヤカツ)が真の敵は穆川だと指摘、この機を利用して排除しようとそそのかした。 つづく φ(。_。*)カキカキ…誰も幸せにしなかった…? ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.02.20 21:58:08
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