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カテゴリ:安楽伝 全39話
安乐传 The Legend Of Anle 第38話 余命わずかとなった洛銘西(ルォミンシー)。 琳琅(リンロウ)は必ず治せる医者を探すと励まし、都では育たないと言われた長思花(チョウシカ)も花をつけたと奇跡を信じた。 しかしすでに心身ともに消耗した洛銘西はこれが寿命だと受け入れているという。 「ご苦労だったな…」 すると洛銘西は優しく琳琅の頭を撫でた。 「ところで冷北(ランベイ)の消息は?」 「庶民に落とされ、辺地に放逐されたと聞きました、今、捜索中です」 一方、帝梓元(ディヅユアン)は口がきけない侍女として韓燁(ハンイェ)の世話を始めた。 しかし早朝、梓元はうっかり韓燁の着替中に部屋に入ってしまい、出て行けと叱られてしまう。 それでも梓元は引き下がらず、半ば強引に韓燁の身支度を手伝った。 侍女が梓元だと勘づいている韓燁。 そこでわざと困らせて梓元を下山させようと企むが、梓元はどんな嫌がらせにも耐えた。 ↓お茶にケチつけて何度も入れ替えさせ、結局いらないと言ってみたり… ↓日差しが強いとか風が強いとかこき使ったり…思い出の魚料理にキレてみたり… 頑なに心を開かない韓燁に尽くす梓元。 その日は下山して任(レン)府へ戻り、長思花が見つかったか聞いた。 やはり簡単には手に入らなかったが、決して諦めないと自らを奮い立たせ、伏翎(フクレイ)山へ戻る。 すると日が暮れたというのに韓燁は独りあずま屋で苦手な酒を飲んでいた。 「(はっ!)なぜまだいる?!」 「(指でなぞる梓元)…何?!″離れない″だと?!」 梓元は泥酔するとたがが緩む韓燁の姿に思わず失笑しながら、居所で休ませた。 「普段は穏やかなのに、侍女にあんな口を利くなんて…見かけによらず意地悪なのね?ふふ 韓燁ったら、私は安楽寨(アンラクサイ)の寨主で帝家軍の統帥よ? 威張っていじめるのを内心、楽しんでいない?この日を待っていたんでしょう? あなたは私のために光を失い、こんなに卑屈になってしまった 韓燁…後悔している?」 翌日、韓燁は侍女と梅林を歩いた。 すると風が吹いて梅の花が舞い落ちてくる。 「この香りは梅の花だな…」 韓燁は安楽と転落した谷底で見た梅の木を思い出しながら、これで終わりにしようと決めた。 「…帰るんだ、花の盛りは過ぎ、じきに散り果てる 君の目なら山河を見尽くすことができる、枯れ枝を見せるのは忍びない」 「韓燁…なぜなの?」 梓元はついに口を開いた。 「梓元、帝家にとって韓家は敵だ… 何より戦の後で情勢は乱れている、私では君を守れぬ、山を下りろ」 「守ってくれなんて頼んでいない!私の欲しいものが何か分かっているの?! 私の名前が何であれ太子・韓燁を決して諦めない、あなたも私の言葉を忘れないで」 梓元は任府に戻った。 すると帝燼言(ディジンイェン)が現れ、韓燁の持ち物から見つけた姉宛の文を渡して帰って行く。 実は韓燁は決戦の前、青南山こそが自分に相応しい死場所だと覚悟を決めていた。 …梓元、安寧(アンニン)が青南城を死守した訳が分かった 帝家への罪悪感だけではない、足元に広がる国土と己が背負う国、美しい山河を守るためだ 私は皇太子、この地で生まれ育ち、この地で死ぬ、それでいい 黄泉の国に行ったら帝家一族と8万の将兵に慚愧(ザンキ)の念なく向き合いたい 悔いを残したまま韓家の祖先の前に立つのは嫌だ 国と民に対して思い残すことはない、ただ君だけが心残りだ だが時は流れ、世は移り行く 私たちは皮肉な運命に翻弄されたが、君にはこれからは笑顔で生きて欲しい 何事にも煩わされず、心のまま平穏で楽しい日々を 君を想い続けた人生だった しかし求め得ぬなら胸に秘めておこう、梓元、君を愛している… 梓元は自分が韓燁の人生を台無しにしたのだと思うとやるせなかった。 「必ず連れ戻して見せる…」 そこで翎湘楼(レイショウロウ)に洛銘西を訪ね、協力を求めた。 韓燁は吉利(キツリ)から洛銘西が梓元を娶ると聞いた。 しかし韓燁は動揺を隠し、酒を持ってくるよう頼む。 「祝宴に出られない代わりにせめて祝杯をあげよう」 その夜、洛銘西も琳琅に梓元を娶ると伝えた。 「私が去ったら翎湘楼はお前に譲る、ここで隠棲するといい」 「大人(ダーレン)がいない翎湘楼に隠棲して何になりましょう…」 すると琳琅は別れの印に舞を披露したいと言った。 琳琅は月明かりのもと、天女のごとく美しく舞った。 すると洛銘西の背後に忍び寄る刺客に気づき、咄嗟にかばって刺されてしまう。 崩れ落ちる琳琅を抱き止め、呆然となる洛銘西。 実は刺客は皇族を追われた莫北(モーベイ)だった。 その時、千月閣(センゲツカク)が駆けつけ、驚いた僕北は露台から飛び降りて脱出してしまう。 「琳琅!しっかり、すぐ医者を呼ぶ、大丈夫だ」 「大人の腕の中で死ねるなら本望です…ずっとおそばにいたかったけれど… 願いは叶いそうにありません…大人…大人は誰からも愛される女子になれとおっしゃった… でも…私が愛して欲しい方はこの世にただ1人…琳琅はずっと…ずっと…」 しかし琳琅は最後の言葉を伝えられぬまま事切れてしまう。 。゚(∩ω∩`)゚。 知らせを聞いた梓元が翎湘楼に駆けつけた。 「これからは自分で身体を大事にしなくちゃ」 「…ずっと心配だった、私が去ったら琳琅は独りで生きていけるのかと だが実は私が琳琅に頼っていたんだな」 「どこかへ行くつもり?」 「いや、ここを引き払って靖南に戻るつもりだった」 洛銘西は梓元を心配させまいと嘘をついた。 すると梓元は何にせよ安寧と琳琅の敵を討たねば戻れないという。 実は冷北は敗戦を咎められ身分を廃された恨みから、梓元たちに復讐しようと都に潜伏していた。 ある夜、莫北は懐かしい公主府に足を踏み入れた。 巷の噂では人けのない公主府に夜な夜な安寧将軍の魂が灯をともすという。 しかし中庭で待っていたのは白髪になった帝梓元だった。 「冷北、ずい分と待たせてくれたわね」 すると洛銘西が射者隊を率いて現れ、莫北を包囲した。 莫北は偽の噂で誘き寄せられたと気づいたが手遅れ、あっけなく生け捕りにされてしまう。 「お前の心は何でできている?いずれ腹を割いて見せてもらおう その前に酷刑に処さねば…安寧と琳琅の魂が浮かばれぬ」 韓燁が中庭で棋譜を解いていると、ようやく洛銘西が現れた。 「梓元と幸せに…」 「太子妃を私に嫁がせていいのか?」 「太子妃か…私でさえ忘れていた」 思えば韓燁の梓元への固執こそが洛銘西の策謀の起点となった。 しかし当時は梓元が執拗に韓燁に絡んで怒らせたため、計画が狂わないか気が気でなかったという。 「意外にも私は耐え抜いたのか…」 「そうだ、まさか太子殿下が女海賊に惹かれるとは予想外だった」 すると洛銘西はこらえきれず咳き込んでしまう。 「梓元を守るためにも早く身体を治せ」 「大事ない、持病だ、それにこれでも太子殿下より気が回る」 「ふふ、荒唐(ファンタン)」 洛銘西は黙って開花した長思花を置いて帰って行った。 そうとは知らず、韓燁は今でも肌身離さず持っている赤い石を手に取り、当時を懐かしむ。 一方、任府では婚礼の準備に追われていた。 すると苑書(エンショ)が朗報を伝えてくれる。 「小姐!長思花が手に入ったそうです!」 つづく ( ๑≧ꇴ≦)回想シーンでスカイダイビングはやめて!頼む!w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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