The story of Japanese montanaman(シングルファーザーモンタナまん崖っぷちアメリカ人生奮闘記)

約９年程、アメリカでブルースと言うアメリカ音楽で苦労をした経歴を持つオイラなのだが、

昨日、久々にアメリカ音楽業界のズルさを体験してしまった。。。笑

昨日の依頼はおいらのブルースの師匠が彼の功績と彼への感謝会と言う名目で３０分スピーチをして

弟子のオイラが共に出会いの話、師弟への道、おもしろ、苦労エピソードを若いミュージシャン達へ

話をして、そのついでに１，２曲演奏を披露すると言う事で招待された。。。はずだった。。。

一応２年ぶりに二人で音合わせを２時間したのだが、師匠の演奏は過去のものとは別物になって

しまっていた。。。流石にオイラもあせってしまった。。。全然駄目。。。オイラも忘れてしまって

いたし、全然噛み合っていなかった。。。なんとか２曲は完璧には仕上げたのだがそれだけ。。。

周りのスタッフからは「前回のテレビのインタビューと同じスタイルだから。。」

と言われていたので完全に安心していたのだが。。。。悪夢は会場入りして始まった。。。

６時４５分から感謝会が始まると聞いていたので６時過ぎに会場であるイエローストーンワイン工房

と言う所に到着した。屋外ではすでに多くの人がワインを飲んで騒いでいた。。。

「若いミュージシャン達の姿など見えないじゃないか。。。」とつぶやいてしまった。

ワインバーの店員に感謝会の事を説明したのだが、感謝会の事は知らず、３組のグループが集まり

ショーがあるというではないか！！！サウンド担当者に師匠の話をしたら

「ああ、デールが演奏してくれるんだ！楽しみにしていろ！」と興奮気味に説明された。。。

「他にも彼の仲間がきてくれるんだぜ！」と言われたので

「オイラもその一人なんですけど。。。」と自己紹介をしたのだが、やはり彼も感謝祭の事は

一言も説明が無かった。。。代わりに

「今日は無料で演奏をしに来てくれてありがとう！！！」と感激されてしまった。。。

彼の説明によるとグループ毎に３０分時間が与えられる立派なショーケース予定だとか。。。

オイラは安易に考えていたので、娘たちは家に置き去りにして買い物気分で立ち寄った感じだった

ので、失望感に襲われてしまった。。。夕飯の支度もして来なかったし、夜の９時までショーは

開催されると言うではないか。。。昼間の音合わせでは今の状態では恥をかくだけなのは確実。。

「全然話が違う、やられた。。。騙された。。。」といきなりテンションが下がってしまった。

とにかく、６時４５分から３０分だけだから、しょうがないと腹をくくってメンバーの到着を

待つ事にした。師匠が到着した時に説明を聞き直したら、完全に話が違う事が判明したのだ。。。

最初から正直に言ってくれれば、ちゃんと準備をして来れたのに。。。

６時４５分になっても他のメンバーはまだ来ない。。。仕方なく他のバンドの演奏が始まった。。

７時半になった。。。メンバーはまだ来ない。。。仕方なく次のバンドが演奏を始めた。

本来ならこの時間で帰宅する予定だったのに。。。。

家に電話をかけたら、娘たちは空腹でオイラの帰宅を待っていたし。。。オイラの頭の中は

娘達のことで一杯だし。。。ギャラが出るのなら娘たちに多少我慢してもらうのだが、

ノーギャラと言う事は「遊んでいる」のと同じ事。。。そんな事はオイラはしない。。

娘たちのほうが大事だからだ。。。８時になった所で師匠に説明をして演奏は１曲だけ、後は

他のメンバーと二人で始末してもらう事にしたのだが。。。結局他のメンバーが現れたのは

８時１５分過ぎ。。。オイラの時間はタイムアップ！　

これ以上娘たちを待たす訳には行かないので帰宅する事にした。。。結局２時間を無駄にして

しまった。。。いつも師匠にはノーマネー、ノープレイと言われていたので実際本人が

ノーギャラの演奏を引き受けた事が言えなかったのだ。。。初めから言ってくれれば

師匠の為ならノーギャラで喜んで引き受けたのに、しかも万全の準備をして。。。

これが４年前なら話は別だった。。。音楽も噛み合っていたし、練習は殆ど要らない状態だったし

師匠が体調を崩して以来、全てが過去のものとなってしまったことを一番理解していたのはオイラ

だけ。。。本人は少しも衰えを認めたくは無いようだ。。。気持ちは解かるが。。。昔、凄かった

ミュージシャンの最後ほど哀れなもの。。。そんな現実を目の当たりにしたら、

「プロミュージシャン」にはなりたくはないと考えるのが普通だろう。。。

どんなに人気が出ても、いつかは廃れてしまう。。。どんなに才能があってもいつかはその才能

も消えてしまう。。そして栄光だけが一人歩きをして最終的には自分を苦しめることになる。。。

過去の栄光にしがみついて生きる事ほどつらい事はないと感じさせられた。。。

それを知ったオイラは３年前にブルース演奏を「趣味」に変えたのだ。。。寂しかったけどね。

全ては自分の為。。。いい経験が出来たと言う事で納める事が良いとは言わないが、それでいい。

次にやりたい事をすれば良いだけだから。。。プロとして、しかもブルースの本場アメリカで、

ステージに立てただけでも奇跡。。。しかも９年も。。。日本人として。。。

夢にも思わなかったことが現実となったことだけで十分。オイラのアメリカンDreamは

苦く甘いワインの様な夢だった。。。そんな夢に乾杯。。。