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ぼくは一応車の整備ができる。
車は嫌いだけれどエンジンルームを覗くのは案外好きだ。 ボンネットをはねるとオイル漏れで真っ黒になったエンジンが肉々しく見えて、ホースやコードが血管のようにぎっしり詰まっている。 エンジンをかけるとファンがバタバタ鳴り出して、ぷーんとオイルの焦げた臭いがしてくる。 こういうエンジンが好きだ。 第469夜『禅とオートバイ修理技術』ロバート・パーシグ 車の整備をしていていつもおもうのはネジ一個にもメーカーの社風や生産国のお国柄というものが滲み出てるということ。 トヨタのネジは一般的に細く軽く、ワッシャーがボール紙だったりしてコスト意識が感じられるし、三菱のネジは径がまちまちでムダに長く効率の追求を感じられない。 マツダはネジの頭が浅くてすぐ舐めてしまうのにそれが全然改良されず現場と開発の隔絶を感じるし、日産のネジは鉄は丈夫だがゴムやボンドがダメで全体極め細やかな配慮が感じない。 ホンダは通常右にあるドレンが左にあったりして一瞬戸惑うが、我が道を感じる。 『とくに、その転移の叙述のあいだに、BMWのR60の修理の場面とか、ボルトとナットの使い方には最初に接触だけで締めるフィンガー・タイトがあって、次に表面の弾力性が吸収されるスナッグがあり、最後にすべての弾力性を吸収しきるタイトという締めがあるといったテクノ談義が随所に入り、さらにそのあいだに最新物理学の理論、たとえばブーツストラップ理論の解説が入ってきたりするので、それらがあたかも禅僧が落葉を掃いたり、座禅をしているときの雑念のように見えて、なかなか気分的な説得に富んでくるのである。』 ぼくのランド・ローバー・ディスカバリーのネジは長くて重厚。 建てつけがわるくてときどきするオイル漏れもなんとも風情がある。 今日もぼくはにじり口を潜るように乗り込みキーをまわすのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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