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仕事机の左隅にはいつも北斎漫画(三巻)が置いてある。
最近はこの三巻目がとくにお気に入り。 で、パラパラ眺めていた。 目にとまったのは十一編にある「層輪塔」「高機図」。 この絵はただ塔の屋根の建築物の部分や手織機械全体を精密に描写したものである。これがなんだか気になった。 北斎にはこのような構造物やからくりの類に格別な視点があったのではないか。 あらためて北斎の画集を見てみる。 すると「隠田の水車」。 これなんてむしろ水車が主役で人間が付け足しのよう。 そこで北斎の作画法はどのようなものだったか。 『北斎万華鏡』永田英樹。 かなり幾何学的な方法で知的に描いているらしい。 一見情念的で直感的に見える北斎の絵、じつはコンパス(“ぶんまわし”と呼んでいた)と定規で緻密に構成されている。 このシステマティックな北斎の作画法と機織機のような入り組んだ機械はどこか相似的。 第521夜『一般システム理論』ルートヴィッヒ・フォン・ベルタランフィ。 『ベルタランフィは、生物システムの発展を階層的秩序の変動としてとらえるという方法を提示する。この階層的秩序は、4つのタイプをもって進むと考えられた。最初の複雑性をもつようになる前進的統合化、それによってシステムの内部に部分と部分の連関がおこる前進的分化、しかしながらそのための代償として機能や器官の固定化を余儀なくされる前進的機械化、これらを統合的に調整して行動を強化する前進的集中化の4段階である。』 これを『北斎万華鏡』(永田英樹:美術出版社)を参考に 北斎システムにする。 1:まず対象をあらゆる方角から膨大にスケッチする。(前進的統合化) 2:それを単純な規則的な形へ還元する。 ここでぶんまわしや定規を駆使する。 丸や三角で部分を仮説して等間隔の網を張る。(前進的分化) 3:次にその幾何形があたかも滑車やロープでもって連動して動き出すよう な動きを導入する。(前進的機械化) 4:その幾何形を何枚も重ねて量塊(マッス)をもたせる。 平面上における仮設的な立体感を構築する。(前進的集中化) この北斎の仮構的な立体表現システムは西洋のイリュージョンな立体表現とは違う。 水ひとつ描かせてもダ・ヴィンチとは違うのだ。 これらの版画、同じシステムで刷っても仕上がりはすべてちがう。 ヘタだから。 (画像粗れちゃったなー) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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