Dolce come il miele　～蜜～

いつものように終電で帰る。


いつもと違うこと。

寝過ごした。

降りる駅の扉が閉まって目覚めた。


とっさに思いつくこと。

あの子に電話。

「終電で寝過ごした」

そうやって頼る相手があの子だけなのがいけないんだ。


いつもと違うこと。

ちらっと見えた彼の隣に女の子。

朝日は彼の先輩の車に乗り込む。


いつもと違うこと。

彼の車を後ろから追いかける。

先輩にナグサメラレル。

頭を撫でられる。

慰められると、自分がツライってこと思い出した。

先輩は、こう言った。

「アイツを付け上がらさんでもええんやで」

「朝日も大変な立場やな」

そんな風に言われて、1人になって涙が出てきた。


やっぱ。

駄目だ。


寝過ごさなければよかったのに。

10ヶ月もこのﾊﾞｲﾄしてて、今日が初めてだ。

タクシーで帰れるくらい、金を持っていたらよかったのに。

一駅くらい歩いて帰れただろうに。



凹んだな。

できれば、見たくないんだ。

彼がほかの子と一緒にいる姿は。


今日は、久しぶりに泣いてもいい？

なんか、わけわからん。