浅田次郎「シェエラザード」
太平洋戦争末期に敵国の捕虜の救援物資を運ぶ使命を帯びて絶対に攻撃されるはずのないはずの豪華客船「弥勒丸」が海に沈んだ。元エリート銀行員軽部は、その弥勒丸を引き上げてほしいと老いた中国人宋英明から強引な依頼を受ける。軽部は元恋人の久光律子らとともに弥勒丸について調べ始める。。。。。 浅田氏の文体は分かりやすいのだが、格調高いとはとてもいえない。戦争モノを書くなら、もう少し文語体というか、当時使われていた言葉で描いてほしかったな。何より気になったのは気品高い弥勒丸そのものと言われている律子さんのどこがそんなに魅力的なの?と思うところ。 なぜ弥勒丸は沈まなければならなかったのか、肝心なことはさらっとしていて、結局ロマンスを書きたかっただけかいな。これほどのページを割いている割に話がつまらないっていうか、まあ、はっきりいってあまり面白さを感じなかった作品。 浅田氏のはあんまり読んでませんけど、なんつうか、ノンポリなんだよねえ。ふうむ。