ケースワーカー
3時からケースワーカーさんとの話し合いをすることになったので、久々に院内に入る。 じーちゃんはすやすやと寝ていた。 昨日ほぼ一ヶ月ぶりにお風呂に入れたそうで、顔の色艶もよかった。 相談室に通される。ばーちゃんはここには初めて入ると言っていた。私は昨年医師から余命一年と聞かされたことを思い出していた。あれからもう一年半もたつのだなあ。 院内のケースワーカーは、肩書きは看護師さんということらしい。でも患者側に立った、親切な対応だった。外来担当の人とふたりで話を聞いてくれた。 まずは自宅療養の可能性を訊かれた。 すぐさまばーちゃんは自分の体のことをあれこれ話し出した。ずっと静かに話を聞いてくれる二人に感心する。 考えてみれば、今年の春まで自分は仕事をしていなかったのだ。電話があれば、すぐ駆けつける体勢でいた。いくら訪問看護やヘルパーさんたちを頼んだところで、今ばーちゃんひとりで自宅で世話をすることは不可能だよな、と思う。 だんなを泊まらせることいついても「男だから、当てにならないしね」とばーちゃんが言う。 じーちゃんなら、頼りになったのだけれどね。ほんとに、細かいところまでよく気がつく人だったのだ。 療養型施設についてはすでに見学してはいるが、いたずらに退院をしぶっていると思われるので予約を入れておくのとおかないのとでは今の病院側の心証が違うらしい。 念のため、もう一度テモダールの処方ができないか、MRIを撮って進行の状況を教えてもらいたいと伝えた。家族が言うよりずっときちんと医師に伝えてもらえそうだ。 いずれにせよ、すぐ出て行きなさいということはないらしい。 医師から説明を受けたあとで予約、と言う段取りになるのだろう。 顔を見てしまったら、やはりあの寂しい病院にひとりで置いておくのはかわいそうな気がしてしまう。もしばーちゃんがいなかったら、多分自分は仕事を辞めてこの穏やかな人の最期を看取ってあげたいと思うだろう。 でも、だんなのときはどうかな。案外すぐさまそっちの施設に放り込んでしまう気がするなあ。あはは。