佐野洋子『役にたたない日々』
役にたたない日々 バアさんと呼ばれる年になり、この先長くないと思うとき、人はどうするのでしょうか。尊敬される人格者としてまっとうするべきと思う人もいるでしょう。 そういう世間体やしがらみをがばっと取り払ってくれるエッセイ集です。 過激で毒舌な先輩。こういう人大すきです。前に住んでいたところにこういう感じの方がいて、あのころはとてもお世話になって楽しかったなあと思い出しました。 『100万回生きたねこ』の作者さんも、もう70歳を迎える年頃になっていたのですねえ。 偶然にも最近このお芝居を見る機会があって、子ども向けとはいってもずいぶん奥の深い話だなあと思っていたところでした。 佐野さんは2回の離婚を経て子どもも独立して気ままなお暮らしをされているようです。帯に「今年の華やぐ心を誰に捧げよう?」とか「人生をめぐる名言がゴロゴロころがっています」とか書かれていますが、それほど「おひとりさまライフ」を楽しんでいるというわけではありません。 何より佐野さんはガンなのです。ですが、佐野さんはガンを「いい病気だなあ。青ざめた見舞客が、メロンなんか持ってきてくれる」といってのけます。「ガンより神経症の方が何万倍もつらかった。何万倍も周りの人間は冷たかった」と。 見舞いにともらった「冬のソナタ」を見て、はまっていく過程が面白いです。私は初めて「冬ソナ」を見てもいいかなという気になりました。 ストーリーはめちゃくちゃで、ヨン様も女も執念深いといいながら、「家にヨン様が居るいつでも居るという安心感は何にもかえがたい」とどんどん韓流にはまっていくのです。 くどくど解説するより佐野さんの語りに触れたほうがいいですね。 これを次の書評のひとつに予定していますが、うまく書けるかなあ。いつもはうまく書いてるみたいな言い方だけど。