盛田隆二『リセット』
盛田さんのなら心温まる作品だろうと借りてきたのが大間違い。ずっと胸をざらざらさせる不快感で終わりました。下手だとかえげつないというのではないのです。もうこの手のを読むのが苦痛なのです。 舞台はサカキバラが報道された20世紀の終わり。パンツを売ったり、Sをやったり、援助交際したりという高校生たちの裏の生活が延々と描かれています。 リセットというタイトルなのに、リセットすることはなかったのでした。もしかしたら、リセットはできないよといいたかったのかもねと思いました。 この高校生たちは今は親となっている年頃です。もちろんこんなひとばかりではないにしろ、倫理観を徹底的に無視した時代に育った人たちはどういった子育てをするのでしょう。 盛田さんはこうした時代を経て、温かい人たちの話へと必然的に移行していったのだろうと思いました。書くのが辛かっただろうなあ。