|
カテゴリ:読書記録
掏摸 中村氏の本は『土の中の子ども』しか読んだことがなかったのですが、気になる作家ではありました。今は少なくなった純文学といいましょうか、若いときに読んだカミュとかに似た匂いがする作家です。 プロのスリが主人公です。世の中の裏街道を歩んできた男ですが、ストイックで心優しいところもあります。彼がなぜスリになったのかは明らかにはされていませんが、かなり過酷な人生だったことは想像できます。 木崎と名乗る男が恐いです。ヤクザをも超える裏稼業の親玉といえばいいのかな。本当にいるんですかね?こういう人。おそらくイエスなんでしょうね。知らないで人生を終えたい人です。 でも主人公は木崎に目をつけられてしまいます。強盗の手伝いをさせられ、その後ある仕事を依頼されます。いいえ依頼ではないですね、命令です。失敗したら友人のように消されてしまうからです。 たいへん恐い世界を描いているのですが、トーンはずっと静かなままです。爆発する怒りもなく、欲望も大人しい。だからなおのこと恐いです。 ある少年が出てきます。若い母親から万引きを強要されています。その母親のひどいことったらありません。でもきっと、こんなのが多くなってるんだろうな。ああ、未来は大丈夫か? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月23日 22時27分06秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書記録] カテゴリの最新記事
|