空はとんび

　今朝、Ｚさんから井上氏の訃報を知らされた。

　昨年から患っていたなんて知らなかった。この前の直木賞選考会は欠席だったけれど、前々回は講評していたのに。肺癌だそうだ。

　
　井上氏の作品はそれほど多く読んではいない。どちらかというと好きな作家とはいえない。けれど、読書量と知識量は他の追随を許さない恐るべきものがあった。本の重みで家が崩壊したという話は有名である。

　直木賞の講評も一番説得力があるものだった。講演も上手でいつもユーモアを含ませながら今の日本で忘れてはならないことを訴えていた。

　これで「９条の会」のメンバーがまたひとり亡くなった。日本の良心がまた少し減った。

　この先日本に何かがあったとき、いったい誰の言葉を指針とすればよいのだろう。


　ご冥福を深くお祈り申し上げます。