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カテゴリ:読書記録
水死 大江の本を読むのは久しぶりです。「レインツリー・・」あたりまでは読んでいたんですけどね。「静かな生活」とか「自分の木の下で」などは文体のあまりの変化にかえってついていけなくなったりしたものでした。 大江自身をモデルにして家族や身近な人々も多く登場するというスタイルです。実際の著作も大きな影響を与えるものとしてたくさん出てくるのですが、残念ながら半分ほどしか読んでいないので、本当に理解できたかといわれると無理でしたね。 太平洋戦争が終わるというときに大雨の中ボート(短艇)で森に向かった父親。彼のことをずっと小説に書くと決めていながら書けなかった作家が、母親の死後10年たって「赤革のトランク」を渡され、「水死小説」を書く決意をします。 けれどそのトランクの中にはほとんど期待していたものは入っておらず、結局作家は小説を書くことを断念します。作家の作品を演劇化してきた劇団員たちと、故郷で暮らす右翼の屈強な老人。地元で作家の批判も受け入れて生きてきた妹、アサ。それに知的障害をもつ息子アカリも交えた日々が綴られます。 昔何かのドラマのオープニングタイトルで点描の絵が描きあがっていく映像がありました。大江の文章はまさにそんな感じで、あちこちにちらばった様々な点がいつのまにか一つの絵になっていくようです。 この作品のヒロインである「ウナイコ」という女性は架空の人物のようです。さまざまな意味で象徴的な存在になっています。 一揆に出ましょうや わたしら女が一揆に出ましょうや 男はごうかんする 国家はごうかんする わたしら女が一揆に出ましょうや だまされるな だまだれるな ハ、エンヤーコラヤー ドッコイ ジャンジャンコラヤー 事件によって上演できなくなってしまった芝居ですが、見てみたいものです。 (ごうかんは漢字変換できませんでした。公序良俗に反するそうです。。。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年05月11日 22時28分34秒
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