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2010年05月16日
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カテゴリ:読書記録

SOSの猿

 ちょっとおひさの伊坂作品。貸し出し締め切りが迫っていたので慌てて読みました。

 猿というのは孫悟空のことでした。

 救急車が通るたびに、「どこかで誰かが痛い痛いって泣いてる」と思う遠藤二郎という青年が、知り合いの引きこもりの息子の悪魔祓いをすることになります。

 そこに、五十嵐真という会社員の話が挟まれます。それは引きこもりの青年が孫悟空の分身として語る話という構成です。

 伊坂作品を読むと、ほっとするのは、主人公が善良な人だからでしょうか。今の時代、「いい人」でいるのはどこか肩身の狭い思いをしなくてはならないところがあります。普通の小説の中では、けっこう際どいことをやってのけたり反社会的な行動をとる人物のほうがよくいます。でも、伊坂作品では、善良な市民が何かの力を得たり、人間ではないものに出会ったりすることで、「本当に悪い奴」をやっつけるのです。そこが痛快なんですね。

 ただ五十嵐の調査する株の誤発注事件の記述はもっと簡単でよかったかなと。あそこで眠くなってしまいました。

 善と悪のしのぎあいの中で、少しでも善が勝つようになってほしいなと、誰でも思うことを脚色して書けるのですから、やはり伊坂幸太郎は好きな作家です。





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最終更新日  2010年05月16日 21時53分47秒
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