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カテゴリ:読書記録
【同時購入ポイント3倍】天地明察 本屋大賞を受賞する前からブランチなどで取り上げられて、話題になっていた作品です。あのときの挿絵は「野生時代」連載中のものだったでしょうか。悪くないのですが、漫画みたいなものかと先入観を持ってしまいました。 江戸初期、武士が泰平の世をどう生きたらいいのかを模索していた時代。碁打ち衆と呼ばれる御前で碁を打つことを生業とする家に生まれながら、算術に大いに興味を抱く若者、安井算哲。自ら渋川晴海と名乗ることで、退屈な公務と己の欲するところを区別してきた。そんな晴海に帯刀が命ぜられ、やがて天体観測の旅に同行せよと言われる。 大和暦といわれる日本独自の暦を作った人物の伝記です。構成がうまいですね。絵馬に書かれた難問に魅了される冒頭から、帝と将軍を動かすところまで一貫しているのは、学問に対する崇高な思いです。起承転結もしっかりしていて、飽きさせません。 関孝和、保科正之、水戸光圀とかの有名な人々との交わりも面白いです。そうか、江戸はこうした偉人たちによってつくられていったのかと感銘を受けます。 正解したときに「明察」と記すなどの当時の言語が味があっていいですねえ。3平方の定理は「勾股弦の法」というんですって。 冲方さんは時代小説を書いたのは初めてだったそうです。硬すぎない文体が時代物に慣れていない読者にも読めるようになっています。問題にもちゃんと絵図をつけてくれているし、漢文も読み下し文で分かりやすく説明してくれています。親切です。 久しぶりに星5つの本でした。お勧めです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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