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カテゴリ:読書記録
廃墟に乞う 昨年度下半期直木賞受賞作です。この作品がどうというよりも、長年の努力に対しての栄冠みたいですね。 『警官の血』はテレビドラマしか見ていなくて、原作も読んでいないのですが、もしかしたら、あちらでとっていたほうがよかったのではないかと思いました。こっちは短編集なのですが、物足りないのであります。 その前に読んだ重松のがあまりに余韻を残す文章だったからでしょうか。あっという間に読んでしまいました。 休職中の刑事が、正規の捜査ではなく、依頼を受けて事件に臨みます。本職だと動けないこともあるというのは、縦割り社会の中でままあることなのでしょう。それは納得できます。 犯人とか被害者にまつわる裏話がいまひとつ薄いのです。もっとあるだろうと思うのですが、あえて深追いすることをやめているのでしょうかね。実際の刑事さんたちもこれくらいの距離をもって捜査に当たらないと、いちいち入れ込んでいたらたまらないのかもしれません。でも、刑事には共鳴できませんしね。 それと、休職の要因となった事件がですね、最後の章でやっと明かされるのですがね、なあんだって感じなのですよ。 しかもですね(ネタばれですから注意してください)、その事件のときのぼんくらさが直前であったなら、わざわざ依頼されるほどの実力をそれ以前に持っていたというのはおかしいのではないでしょうか? 冒頭の「被疑者の最初の一瞬の目で、相手が嘘を言っているかを見極める」という記述と矛盾しませんかねえ。 あら捜しばかりしてしまいました。最近ご無沙汰してますけど大沢はやはりすごいなあと思ったりしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年06月07日 22時59分29秒
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