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カテゴリ:読書記録

永遠の0(ゼロ)

 ネットのレビューではたいへんな高得点を出している作品です。

 ゼロ戦のパイロットだった祖父について聞き取り調査をしていく姉弟という形をとったのは、そのほうが今の若い人にはとっつきやすいと思ったからでしょうか。実際そのような評価をしている方もたくさんおられるようです。

 でも私は、このやり方はあまり好きじゃない。いっそドキュメンタリーとして事実だけを追うほうがよかったな。

 百田さんは放送作家だそうで、どうりで、映画でよく使われる手法ですね。

 さて、それでは内容はあまりよくないのかというと、あの戦争の、特に大本営に対して真っ向から批判を浴びせるものになっています。

 なんといっても兵士の命を使い捨ての紙くずとしか思っていない幹部たちに怒りが治まりません。こんな馬鹿な幹部のために多くの才能ある前途有望な若者が何百万も死んでいったのですね。

 主人公の宮部は戦争中にありながら「命は何よりも大事」と必ず生きて帰ることを遵守してきました。ゼロ戦の操縦もみごとで、部下にも「生きて帰れ」と命じます。戦局はますます厳しくなり、それでも大本営は負けを認めず「玉砕」の名のもとに「特攻」命令が下ります。

 牟田口中将とか福留中将とか実名で出てくる人たちを検索してみたら、ずいぶん長生きされたのですねえ。最後まで自分の作戦ミスを認めなかったって、こういう人間はこれからも登場してくる可能性は大いにあります。

 尖閣諸島とか北方領土とかなにやら物騒な気配がしてくる昨今、若い人、それほど戦争のことを知らなかった人たちにはぜひ読んでほしいと思う一冊です。






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最終更新日  2010年11月07日 21時49分10秒
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