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カテゴリ:読書記録
安達さんの昨年の作品。おやまあ、ずいぶん感じが違うこと。今回はミステリーですね。 目覚めたときに自分が死体だと思うという異色の展開です。 こういうありえない設定を読ませてしまう力量、やはりタダモノではないと思われます。なぜヤング向けの作品と違うのかと考えてみますと、イザナミ、イザナギの話とか、即身仏の話とか戦争体験とか使われる素材が違うのですねえ。 マキリというのはマタギとかが使う大きめのナイフです。目覚めた男は血まみれですが、どこも怪我をしていません。連続ナイフ傷害事件の犯人に襲われて、その犯人を殺してしまったようです。自分の目には死体にしか見えない体は、他人には普通に見えるらしく、男は地震の被害にあった故郷、山形に戻ります。そこには昔の恋人が鍛冶屋の父親と結婚していました。戦争があったころに即身仏になった男のミイラがあるとされる洞窟。そこを守り続ける祖父。そしてミイラを商売にしようとする怪しい男が現れ、事態は急展開していきます。 ラストまで、男が生きているのか死んでいるのか謎のままです。 全編に溢れる迫力がすごいです。テレビ化はありえない。映画化ですね。でも歩く死体はどうするのでしょう。西川さんあたりが映画化してくれないかなあ。 ちょっと気になったのは、かつての恋人竜子の目線が後半でちょくちょく入ってきていたところ。ラストで納得はしましたが、そこのところ、どうにかならなかったかなあと。ラストもちょっと唐突だったかな。わかるんだけどね。走りすぎたきらいがありました。 安達さんは次はどんなのを書くのでしょう。一年に一作でもいいから書いてほしいなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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