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空はとんび

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2011年04月16日
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カテゴリ:読書記録

【中古】afb【古本】ツリーハウス/角田光代

 ここのところ仕事がきつくてほとんど毎晩数ページしか読めませんでした。時間がかかってしまいましたが、やはり角田さんはうまいです。

 冒頭の数行で、読者を誘うのですね。本に入りこむというより、手を引いて連れて行ってくれるような感じ。だから時間が入り乱れているはずなのに、少しも迷うことがありません。


 料理屋を営む3世代同居の家族の、それぞれの物語です。戦争中、満州に渡って出会った祖父と祖母の若かりし頃の話、学生運動を傍観者として過ごした父の若かりし頃、そして現代のフリーターとしての若者の話です。


 マルケスの「百年の孤独」を意識したとどこかで書いてあったような気がしますが、コロンビアと日本ではいろいろと事情が違うせいでしょうか、あれほどの感銘は受けませんでしたが、これはこれで日本人として考えるべきことが押し付けではなく語られます。

 がむしゃらとは言いがたい生き方をしてきた、している人々への批判ではないところが角田さんのうまさですね。もしそばにこういうのんべんだらりとした若者がいたら、喝を入れたくなる自分ですが、主人公たちに親しみを覚えてしまうのです。


 ますます腕を磨く角田さん。今後も注目です。





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最終更新日  2011年04月16日 23時51分05秒
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