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カテゴリ:読書記録
伊坂幸太郎『マリアビートル』 久々の伊坂作品。待った甲斐がありました。 『グラスホッパー』に登場した鈴木やスズメバチなども出てくるのですが、蜜柑と檸檬の二人組みの殺し屋がとってもいいんだなあ。「芥川龍之介と梶井基次郎」と名乗ったり、機関車トーマスのキャラクターがいいところで活かされたり。 伊坂ワールドでもっとも面白いのがこの殺し屋さんたちではないでしょうか。 しかし、面白いだけではないのです。今回、唸るほど感心したのは、「王子」というたいへん嫌な中学生が連発する「なぜ人を殺してはいけないのですか」という問いに大人がどう答えるかというところ。深いなあ~。 まるでトランプのナポレオンをやっているようなのですね。誰が本当の敵か分からない。頼りにしていた裏ジャックも、正ジャックまでもやられてしまって、ああ、もうダメかと思うところで、まったくツキから見放されているという「七尾」の接近によって常勝を誇っていた王子にもピンチが。。。そして現れたオールマイティの存在。う~ん、すごい。 ラストは気になることばかりで終わってしまったので、早く続編を書いてほしいです。もしかして、書かないのかなあ。 お洒落な殺し屋さんたちがいなくなってしまうのは残念なのですが、小説の世界ですから、その前の話にしたっていいわけで、まだまだ彼らには姿を見せてほしいです。蝉とか鯨とかももっともっと出てきて欲しい。 伊坂さんの頭の中ってすごいなあ。こういうウイットに富んだお友だちがいたら素敵だろうな。前にも書いたけど、ものすごく深刻で重要な問題をかくもさわやかに描ける日本人はこれからもなかなか出てこないでしょうね。 今日は職場で誰か読んだことないかを探してみたのですが、若い人でもあんまり読んでないみたいでした。残念。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年04月27日 23時00分01秒
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