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カテゴリ:読書記録
【送料無料】決壊(下) 結局読んでしまいました。実は「なずな」も借りてあったのでそっちを先に読もうとしたのですが、ちんたらちんたらした文章に痺れを切らして、こっちを優先しているうちに期限日が来てしまい、「なずな」は去っていきました。まあ、いつかブームが去ったらまた借りようっと。 え~っとネタばれになってしまうんですね。いつか読もうと考えている方はそこらへん考慮してください。 崇さんは警察の卑劣な尋問にも耐えて釈放されます。真犯人が現れたのです。それから共犯の中学生も自首します。その前に同級生の好意をもっていたはずの女の子を刺し殺して。 真犯人と中学生については「悪魔」とそれに魂と売った少年ということで、いうべきことはないのですが、問題は崇さんとその家族です。 夫を義理の兄に殺されたと思っていた佳子さんには良太という息子がいるから再生の道もあります。けれど、崇や母親、父親にはその道は閉ざされてしまうのでした。 悪魔的な存在はなぜ発生するのか、太古の昔から人類にとって永遠の課題である「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマに崇さんはいろんな言葉を使って挑もうとします。でもそれはあくまで他者に起こった事件に対してであって、身内が無残な殺され方をした当事者にとってが無意味なのでした。 エンタメとして読むなら展開に読者サービスがないと文句を言うところですが、平野さんは誰にでも起こり得るけれど日常ではない事柄について正面から取り組もうとしたのでしょうね。ネットでの溢れる情報流出のなかで冤罪を着せられるということはどういうことなのか。 私もずっと犯人は崇さんだと思って読んでいました。あれも怪しい、これも怪しい、と予想するわけです。そういう読者こそが、罪もない人を苦しめているのだと言いたかったのかとラストの悲しさを読んで思いました。 しかし、重いです。平野さんは何を軸に3部作と銘打ったのでしょうね。まずはそれを解明しなくては。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年07月03日 16時33分29秒
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