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カテゴリ:読書記録
【送料無料】そこへ行くな ブクログの読書目標を達成するために、読了していない本を「読んだ」と登録していました。それでも30日で8冊は達成できず、本末転倒とはこのこと、と反省しております。 なぜそんな暴露をしたかというと、この井上さんの短編集がはじめ読んだときよりずっといい評価をつけたくなったからです。この人、うまいわぁと思ったら、2008年に直木賞をとっておられるのですね。井上光晴の娘さんなのですね。そんなことも知らずに雑誌の広告で題名に惹かれて借りてきたのでした。 以前ある人が「小説に落ちをつけてはならない」と言いましたが、まさに落ちなしの短編集です。え、ここで終わるの?!と残された読者は呆然としてしまいます。それは裏切られたと言う類のものではなく、もっとこの世界に浸っていたかったのにぃという惜しまれるものなのです。 いや、しかし、文章がうまい。心の襞をずっとくすぐられ続けるのです。こういう感覚、久しくなかったです。 「すばる」に掲載されていなかった「病院」がとくによかったな。クラスの「僻地」の存在である女子と、「都心」に位置する男子の誰にも知られていない関係。よくあるシチュエーションなのにマンネリ感がない。感情を過剰投与せずに、微妙な心の揺らぎを描いています。 これだけ、希望が見えるのですね。もう「そこ」には行かないという決意。 「そこに行くな」というタイトルが落ちなしの話を締めています。いっちゃだめなのに行ってしまうのでしょうか。。。。怖い展開ではないのにこんなにスリルを感じさせる。こんな凄腕を今まで知らなかったとは。 返しに行った図書館でまた2冊借りてきました。なぜこの人の本がそんなに人気がないのか不思議です。今年の収穫一番乗りですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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