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カテゴリ:読書記録
【送料無料】 マザーズ / 金原ひとみ 【単行本】 芥川賞受賞作も読んでいなかったのですが、若いのにたいした腕だとは思っていた金原さん。ひとつひとつの文章がナイフで切り裂くように鋭いです。 今のお母さんはたいへんだなあ。我々の頃は子育て中はただ子育てしていればよかったけれど、お洒落もしなくてはいけないし、自分の仕事も続けていかなくてはならない。 もちろん、そういう選択肢しかないわけではないのですが、周りの状況がなかなかそうはさせてくれないのですね。 モデルや小説家など贅沢な暮らしと思える彼女たちですが、決して幸せではないのです。そしてその彼女たちと必死に繋がろうとしている主婦の悲劇。 ただ、どの人物も一人称になると区別がつかなくて、読むのにも苦労しました。思いは分かるのですが、物語が進まない。延々とスパイラルに落ち込んでいく状況を描こうとしたのかな。やろうとしていることの半分もやりきれなかったのではないかと邪推しています。 平野啓一郎氏の「ドーン」とかに似ているかな。 で、今、角田さんのを読んでいるのですが、やはり違うなあ。内面もたくさん描かれているのですが、ちゃんと物語は進むのです。背景の中で人物が動いている。そう、金原さんのには背景がない。その日の天気とか気温とかが伝わらないのです。 でも、凄いものをもっていることには違いありません。何箇所も引用したくなる記述がありました。もう返してしまったので書けませんが、落ち着いてじっくり読みたい人にはお勧めです。 あ、これから子どもを産もうかと考えている人は、ちょっと待ったほうがいいかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年05月14日 21時43分05秒
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