「ロボトミー」とは?
昨日観た映画「フロム・ヘル」の中に出てきた、あの左右のこめかみコンッってやる手術(?)気になって調べた。どうやらそれは「ロボトミー」っていうらしい。「ロボトミー」と聞いた私は俄然興味がわきました。単純に、イエローモンキーの曲の中にもこの単語が使われていたからなんだけど。「ロボトミー」、言葉だけは知ってたけど、ロボットみたいに感情を失くすから「ロボトミー」なのかと思ってたよ。でもロボットは全然関係なかった。正しい語源は、ロボトミーのlobo-というのは、中肺葉とか前頭葉とかの「葉」という意味。一方、-tomyは切断とか切除を意味する。なるほど。ロボトミーを発明したのは、ポルトガルのエガス・モニス(1875-1955)。今となっては「悪魔の手術」とも言われるロボトミーで、なんとノーベル賞も受賞していた…!!で、どんな手術なのか。※食事中や食事前の方は読まないほうがいいかもデス左右のこめかみに穴をあけ、脳の前の方にある前頭葉の白質を切り取るのが前頭葉白質切截だ。別名標準法と呼ばれる。名前の通り最もロボトミーらしい手術だ。 この他、頭蓋骨を切り開いて行う開頭式、皮膚ごと前頭葉を切除する前頭葉切除、眼窩から脳に入れた針先を動かして白質を切り取る眼窩経由など、切り取る部位ごとに分類されている。また、放射線を使った放射線ロボトミー、超音波ロボトミー、電極を入れて脳を焼くタラモトミー、薬品で扁桃核を破壊する定位扁桃核破壊もある。ロボトミーは主に前頭葉など脳の表面を対象とするが、新潟医大の中田瑞穂教授が9歳の精薄児の大脳を半分切り取り「脳の半分がなくても、どこかがその代わりの働きをする」と報告したという。 開頭式以外の手術は頭に開けた穴にメスを突っ込んで行う。中が見えないから、カンがすべてだった。こちらから転載しました。手術方法だけでも怖いのに、「カンがすべて」って…恐ろしいです。どんな人に施術されたのかというと、統合失調症(精神分裂病)の患者などだそうだが、そうでなくても「扱いにくい」とされる人にも行われていた様子。「フロム・ヘル」では、廃人にするためにこの手術をしていたような感じだった。その手術風景も事細かな描写は無いが、時代背景が100年以上前なのもあり、何と言うか…まるで人体実験のようでゾーッとしました。ロボトミーの後遺症(副作用)としては、人格変化、無気力、抑制の欠如、衝動性などだそうです。『極論すれば「人間性を奪う」手術だった』、と書いてある所もありました。こういった手術を本人の承諾なしに行っていたのが多いようです。ホントにホントに怖いです。また、日本でもかなりの数が行われていたらしい。日本では1942年、新潟医科大学(後の新潟大学医学部)の中田瑞穂によって初めて行われ、戦時中および戦後しばらく、主に統合失調症患者を対象として各地で施行された。施行された患者数は、一説によると3万から12万という。作家中村真一郎もロボトミーを受けた一人である。日本では1975年に「精神外科を否定する決議」が日本精神神経学会で可決され、それ以降は行われていない。これはこちらから。結果起きた悲劇が、ロボトミー殺人事件。読んでいると、怒り?悲しみ?憤り?何とも言えない気持ちになった。一方、ロボトミーがただの蛮行だったのか、という点については色んな意見があり興味深いです。最近刊行された英国の医学論文誌、New England Journal of Medicineにおいては、医学史博士のバロン・H・ラーナー氏らがエルハイの主張を受ける形でロボトミーを検証し、”当時、米国の精神病院に押し込められていた400,000人もの患者を救う為に考案された、悲痛な、しかし最後の手段だったのではないか”と記している。またその中で、一部の患者に対しては確かに効果を発揮したことは確かであると認めているのである。「確かに、ロボトミーによって害された人間は膨大な数に上りますが、それは当時、ロボトミーが余りにも多用されたこと、そして例えば種々の発達障害や、頭痛、精神不安などといった必ずしも適応すべきでない症状に対しても、ロボトミーが行われたことが原因だったのではないかと思います。」ラーナー氏はそう語っている。この記事はこちらから。コメントも全て読んでしまった。あきらかに「悲痛な最後の手段」、ではないケースばかりを読んできたのでメカラウロコでした。そして、「精神病の治療法として、このロボトミーの復活を考えても良いのではないか、という提言が医学誌に掲載された」という情報を見て、恐怖を感じた。個人的な意見としては、ロボトミー反対。ロボトミーされるくらいなら、わたしだったらいっそ殺して欲しい。ちなみに、ロボトミーについてわかりやすく書かれていたのはここかな。もう、「♪ロボトミ~ ロボトミ~」なんてのん気に唄えなくなっちゃいました。。。